最近の新聞報道に次のような記事があった。羽田空港に勤務する50代の主任航空管制官が米国大統領専用機のフライトプランなどをインターネット上に流出させたという問題だ。
この管制官は、平成13年に自分のブログを管制内部の情報を見てもらう目的で立ち上げ、定期的に情報を流していたということだ。また、7月には東京交通管制部の管制官が「ツイッター」で施設内見学ツアーを勝手に呼びかけた問題も発生している。
この記事を目にしたとき、大の大人が何をしているのかといった気持ちになった。
この人達は、自分の職場が特殊で、紹介すれば一般の人が興味を持つであろうと思って、軽い気持ちでやったのだろう。多分、以前から身内に対して写真を見せたり、社外秘にあたる情報をもらしたりして、得意になっていたことは容易に想像がつく。内々で見せていたときは、仲間内で「面白いね」で済んでいたのが、最近のITの発達により、見せる範囲が身内から外へ広がった時点で「面白いね」では済まなくなったことが問題だ。
社会人に成り立ての頃、電車の中や飲み屋で仕事の話をするなとよく言われた。「壁に耳あり、障子に目あり」でどこの誰が聞いているか、見ているかわからないので情報漏洩に気をつけろということだ。今回は、堂々と仕事中に写真をとり、それを広範囲にばらまいたり、ツイッターで勝手に仕事場見学のツアーを呼びかけるなど常軌を逸しているとしか言いようがない。
ITの発達は人々の生活を便利にさせたことは間違いないだろう。ビジネスにおいても手紙から電話、テレックスからファックス、さらに電子メールへと技術の進歩によりコミュニケーションのスピード化と多様化が進んできた。しかし、ITの発達に比べて、発信する側の"人"は進歩しているのだろうか。
ITが発達する前は、社内・社外への発信は発信権者が決められており(通常は課長職)担当者は常に上司決裁のもと、発信を行っていた。従って、文書の書き方が下手だと赤字の添削が入り、書き直しを命じられ、その経験を通して文書の書き方を学んだ。今は、発信権者は決められているものの、電子メールの発達により個人が容易に、広範囲に情報発信できる環境になってきている。会社によっては、様々な制約を課しているところもあるが、大勢は個人の裁量に任されている状況であり、以前より個人の責任の重要性が高まったと言える。
何とかと鋏は使いようと言われるが、ITにも同じ事が言えよう。IT業界を中心としてより便利さを求めて、様々なツールが今後も開発されるであろう。しかし、ITはあくまでコミュニケーションの手段であり、伝えるべき内容が大事であることを忘れてはならない。