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世代が異なる部下とも適切な信頼関係を築くスキル

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どんな相手とも信頼関係を構築するには

ギャップに直面したコミュニケーションの手段

2025年が始まり、新入社員が職場に加わる季節もまもなくです。学生から社会人へ、大きく環境が変わったばかりの新入社員と、既存の社員との間には、価値観や考え方の違いから戸惑いが生じることがあります。

私も、かつて新入社員の受け入れを担当し、世代間のギャップに直面したことがあります。年齢が離れた相手とどのようにコミュニケーションを図るべきか悩み、そのときは、アニメやゲームといった共通の話題を活用して、距離を縮めることができました。子どもの頃に初めて購入したゲーム機が、2004年発売の「ニンテンドーDS」だと聞いたときは、驚きつつ、相手との年齢差がよく分かるとも感じました。

このように、共通の興味などを信頼関係構築のきっかけにできるケースもありますが、どんな相手でも同じようにはいきません。第一印象からつまずいてしまう場合もあるでしょう。同じ組織の一員としてうまくやっていきたいと誰もが思っていたとしても、現実には、信頼関係が構築できないことがあるかもしれません。

無意識につくり出す「ストーリー」

人は、他者の言動に対して、無意識に「ストーリー」をつくっています。ここでいう「ストーリー」とは、自分の価値観や過去の経験に基づいて「~なのだろう」とか「~に違いない」と想像したことです。相手の意図や事実とイコールではないにもかかわらず、あたかも事実であるかのように、現実をゆがめて認識してしまうことがあります。

ストーリーの例

上司の認識 「あの新入社員は初日から遅刻をした。やる気がないに違いない」

この上司は、「初日から遅刻をした」という事実に基づき、「やる気がない」というストーリーをつくっています。しかし、実際の遅刻の理由は分かりません。入社したばかりで、家族に問題が起きたことを伝える勇気がないとすれば、どうでしょうか。言わない方が悪いと断じるのは簡単ですが、言いにくいことを伝えられる職場づくりも重要です。

長年の同僚や同世代の相手との慣れた状況であれば、かみ合わない部分があっても、結果的にうまくコミュニケーションできるかもしれません。しかし、世代や環境が異なる相手との慣れないコミュニケーションでは、相手の意図に合致しない「ストーリー」に基づく判断が積み重なると、互いに不信感を抱く原因となります。やる気がないと思っている相手のことは、他の部下より悪く見えたり、他の部下なら見逃せることも、いらだって叱責したくなるかもしれません。

「ストーリー」と事実を切り分けて考える

自分がつくり出す「ストーリー」に気づくこと、そして、事実とストーリーを切り分けて考えるために役立つのが、当社の教育研修プログラム「クルーシャル・カンバセーション」です。ここで、学べるスキルの一部を実際の活用方法とともに紹介します。

1. 感情に気づき、整理する

感情的になったときには、一度立ち止まって、「なぜ自分はこう感じているのか?」と自問してみましょう。その感情が事実に基づいているか、それともストーリーに基づいているかを見極めることが重要です。

2. 事実を優先する

前述の例のように、部下が遅刻した場合は、まず「なぜ遅刻したのか」と具体的な状況を尋ねることで、ストーリーを排除した対話ができます。事実を基にしたコミュニケーションによって、無用な誤解を防ぎます。

3. 対話を促す質問をする

「どのような問題があったのか?」「困っていることはないか?」といった質問を投げかけることで、新入社員が自分の状況を説明しやすくなります。また、対話を通じて相互理解が深まるため、信頼関係の構築につながります。

4. 心理的安全性を確保する

職場での心理的安全性とは、ミスや課題も素直に話せる環境を指します。新入社員が、失敗しても非難されないと感じる環境を作ることで、安心して意見を共有し、建設的な対話ができます。

また、「問題について話してくれてありがとう。これからどうすれば良いか、一緒に考えよう」のように、将来に目を向け、前向きな姿勢を示すことで、新入社員の不安を軽減できます。

適切な信頼関係を築くスキル

「クルーシャル・カンバセーション」の実際の研修では、いくつものスキルを体系的に学びます。事情や背景、世代が異なる相手との感情的になりやすい場面でも、双方にとって有益な結果を導き出す対話スキルです。

  • 「ストーリー」に気づき、それに支配されず、事実に基づいて話を進める
  • 感情的な衝突を避け、冷静さを保ちながら対話ができる
  • 意見の相違による誤解や対立を解消し、互いが望む結果を引き出す

興味がある方は、まずは30分間の無料オンラインコース「クルーシャル・カンバセーション コースプレビュー」に、お気軽にご参加ください。コミュニケーションの場面でよく発生する課題の要因と解決策をお伝えしています。

さらに踏み込んで「クルーシャル・カンバセーション」をより詳しく紹介する無料セミナーや、公開講座も定期的に開催しています。皆さまのご参加をお待ちしています。

田島 隼耶

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