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初めて教育研修担当になった方へ

    初めて教育研修担当になった皆さんは、今後の自分の役割に対して、期待と同時に不安も抱いているのではないでしょうか。ここでお伝えすることが、少しでも皆さんの不安の解消につながれば幸いです。

    できれば耳にしたくないこと

    皆さんの業務の中心になるのが、研修の企画や実施、そのフォローかと思います。これまでは受講する立場であったのが、これからは企画・実施する側になるわけですが、できることなら、以下のような「受講者の声(社員の声)」は、耳にしたくないでしょう。

    • 内容がつまらない
    • 仕事の役に立つとは思えない
    • 研修の目的が分からない
    • 講師が一方的
    • 講師がわが社のことを知らない

    こうした「声」が出るのには、原因があります。一言でいえば、やるべきことをやっていなかったから…と捉えることができます。では、やるべきこととは何でしょうか。

    望ましい結果を得るための秘訣

    望ましい結果を得るために大切なことは、教育研修を「企画」「実施」「フォロー」「効果測定」の4つの段階で考えることです。1つずつ見ていきます。


    1. 教育研修の企画(教育研修全体と個々の研修の企画)

    企画の良し悪しが研修効果に大きく影響するのは、言うまでもありません。企画段階では、以下のことを留意することが重要です。

    1. ビジョンとのつながりを意識する
    2. 目的は課題の解決
    3. 育成体系の構築
    4. コースデザイン(個々の研修の設計)
      [1]目的と目標の設定
      [2]What/Whyで全体をデザイン
      [3]4MATモデルで研修の流れにひと工夫

    1. ビジョンとのつながりを意識する

    通常、会社には理念と同様にビジョンがあります。会社として、個人として、どのようになりたいのかというイメージを表したものです。最近では会社のビジョンを実現するために、人材育成ビジョンを作っている会社も増えてきました。実施するさまざまな教育研修が最終的に目指すのは、ビジョンの実現です。したがって、教育研修の企画は、常にビジョンとのつながりを意識しながら進めることが大切です。

    2. 目的は課題の解決

    企業研修のおもな目的は、課題の解決です。なりたい姿(ビジョン)に近づくために、現在問題になっていることを解決します。したがって、企画の段階では、各方面の協力を得たり、自ら現場へ出向いたりして、受講者が直面している課題をしっかりと把握することが大切です。ただ、すべての課題が、研修だけで解決できるわけではありません。研修で解決できることとできないことを整理することも、企画するうえで欠かせません。

    3. 育成体系の構築

    ビジョン実現と課題解決を目的に、新しい育成体系を構築したり、既存の体系を修正したりします。体系は、「いつ、誰に、何を、どのように、どこが行うのか」を検討し、まとめたものです。今後業務を推進していく際のよりどころになる大切な資料です。

    4. コースデザイン(個々の研修の設計)

    体系を基にして、個々の研修のコースデザインをします。ここでは、新しい研修を1から作成することもあれば、今まで実施してきた内容を見直すこともあるでしょう。1から作成する場合は、以下のプロセスで進めます。


    [1]目的と目標の設定

    まず、研修の目的を設定します。「○○のために○○を習得する」といった例が一般的です。「研修のねらい」という項目名で研修案内などに掲載されるものになります。

    次に、その研修の達成目標を設定します。達成目標は、その研修を通して何ができるようになるのかを表現したものです。「○○について説明できる」「○○を操作できる」「○○を使って5分で製品紹介ができる」というように、「…ができる」という表現にします。

    [2]What/Whyで全体をデザイン

    続いて、研修内容の作りこみです。オープニングから終了まで、何を行うか(What)を考えていきます。それをまとめたものが、研修の日程表になります。

    ここではもう1つ、その内容をなぜ行うのか(Why)についても考えてください。「○○を理解してもらう」「○○に気づいてもらう」のように、研修内容一つ一つのWhyを考えます。Whyがはっきりしない内容は、変えるか削除することになります。良質な研修デザインのために、What/Whyでの作りこみをおすすめします。

    【What/Whyの例】

    What Why
    1. 新入社員研修オリエンテーション
    2. 人事部長からのメッセージ
    3. 会社を知る
      ①当社の歴史について
      ②当社の主力製品紹介…
    1. 研修開始にあたっての不安を解消
    2. 研修へのモチベーションを高める
    3. 会社を知る
      ①当社の歴史を理解してもらう
      ②主力商品を理解してもらう…

    なお、既存研修を見直す場合は、Whatはすでにはっきりしているので、各内容のWhyを考えながら、必要に応じて内容(What)を変更します。

    [3]4MATモデルで研修の流れにひと工夫

    What/Whyで一通り研修内容を構築した後、さらにもう1歩踏み込んだデザインを行います。その目的は、「気づき」をもたらす研修の流れを作ることです。「気づき(なるほど、そうか)」は、学習内容への理解を深める要素であり、「喜び」でもあります。「気づき」の少ない研修は、「内容がつまらない」となってしまいます。

    「気づき」をもたらす研修は、インストラクショナルデザイン理論の一種である4MATシステム(※)を活用して作ることができます。4MATシステムとは、研修全体の流れを「Ⅰ. 経験学習」→「Ⅱ. 概念形成」→「Ⅲ. 練習と習得」→「Ⅳ. 計画と実践」の4つの順で組み立てるモデルです。
    ※ 4MATシステム:バーニス・マッカーシー(Bernice McCarthy)による理論

    4MATシステムが特徴的なのは、いわゆる講義の時間(概念形成)の前に、受講者が何かを経験する時間(経験学習)を持とうとする点です。講義の前に経験学習を経ることで、講義内容の理解が促進されるとしています。例えば、コミュニケーションの重要性を講義する前に、コミュニケーションについて考える話し合いやグループ作業、ゲームといった、受講者が何かを経験する機会を持った方が、コミュニケーションの重要性をより理解しやすくなるということです。

    もし、新たに作成する研修が、さまざまなテーマの講義が連続する研修であれば、いくつかの重要なテーマの講義前に、そのテーマに関する話し合いや、グループ作業などを組み込んでみてはいかがでしょうか。

    →「研修コースデザイン」を学びたい方はこちら

    2. 教育研修の実施

    ここは、「受講者の声」がもっとも多く挙がる段階です。ズバリ、講師の力量が結果(声)を左右します。皆さん自身が講師を務める、社内の人が講師をする、外部講師に依頼する、いずれの場合も、以下の3項目を常に意識し、実践していくことが必要です。


    1. 分かりやすい説明

    説明の内容面では、全体から部分へ、表現の工夫、的確な具体例や例え話を用意、などがポイントです。話しすぎにも注意をします。理解が足りない部分の説明は、得てして話しすぎになるものです。また、話し方も重要で、表情や動き、声の調子などに注意が必要です。

    2. 意見を引き出す

    参加型の研修、つまり、講師の一方向的な説明ではなく、講師と受講者との双方向的なやりとりがある研修は、受講者の参画意欲が高まり、研修全体が活性化します。何かの説明が終わったら、「質問はありませんか」と言うだけにとどまらず、「今の説明内容に○○さんは同意しますか」「今の説明内容について、○○さんはどう感じたでしょうか」といった“意見”を求める問いかけをします。講師としてはどのような意見が出るか心配になるところですが、こうした双方向のやりとりの延長線上に、「気づき」が生まれてきます。

    3. マインド

    分かりやすい説明をするにしても、意見を引き出すにしても、講師としてのマインドのありかたで、その成否が分かれます。既述のとおり、企業研修のおもな目的は、課題の解決です。したがって、「私は受講者の問題解決をサポートするのが役割だ」と考え、上から目線にはならずに、「どうしたら、今日集まった人たちの役に立てるだろう」というマインドで研修に臨むのが良いでしょう。受講者は、そうした講師のマインドをよく見ているものです。

    →「インストラクションスキル」を学びたい方はこちら

    3. 教育研修のフォロー

    研修後のフォローも、教育研修担当者の役割の1つです。一般的にフォローは、学んだことの職場(現場)での実践、および定着化を目的とします。次の2つの視点で計画し、実施してください。

    1. 上司のOJTによるフォロー

    定着化の鍵になるのは、研修内容を上司にも理解してもらうことです。これが不十分では、受講者が学んだことの実践に無関心になったり、場合によっては否定的になったりしてしまい、定着化には至りません。受講者が学んだ内容を上司に理解してもらい、そのうえでOJTを実践したり、活動状況を適宜確認してもらうことで、定着化につなげます。

    2. 参加者同士によるフォロー

    受講者同士によるフォローは、上司によるフォローより長続きし、効果が上がることがあります。具体的には、例えば、研修中のグループメンバーを1つのチームとし、研修中にまとめた行動計画や達成目標をメンバー間で共有します。研修後に、お互いが行動計画を見ながら、「計画どおりに実践していますか?」というようなやりとりを、メールや専用のアプリケーションで行います。

    お互いに励まし合いながら、あるいは競争意識を持ちながら進めて行くことになるので、当初の目標を達成しやすくなります。上司は基本的に関わりませんので、受講者の主体的な取り組みに任せる形のフォローと言えます。

    4. 教育研修の効果測定

    教育研修担当の役割として最後に触れるのは、効果測定です。スキルや技能など、学んだことの実践度合について調べます。可能であれば教育研修の実施前後で測定します。それにより、どのようなレベルで行動変容をなし得たかが分かり、次回以降の研修企画、準備、フォローなどに反映させることができます。

    お問い合わせ、およびその後の一般的な流れ

    4つの視点(「企画」「実施」「フォロー」「効果測定」)について、ラーニング・マスターズは独自のノウハウを持っています。詳しくはお問い合わせください。

    1. お問い合わせ

    まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。

    2. 面談・提案

    当社のパフォーマンス・コンサルタントが、お悩みやご希望をヒアリングし、最適な解決策を提案いたします。状況に応じて、診断ツールによる課題分析を行います。

    3. 研修/コンサルティング

    教育研修プログラムや診断結果を用いて、研修やコンサルティングを行います。

    4. フォロー

    トレーニング内容を定着させるために、フォローツールなどを用いて、効果の持続や行動の習慣づけをサポートします。

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