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教育研修担当に必要な
社内外の人的ネットワーク

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初めて教育研修担当になった方へ 最終回

前回、教育研修担当者の仕事は、「社内を歩き回って、どこにどんな問題があるかを探り、その解決策を考え提案する」ことだとお伝えしました。そのためには、会社の経営計画から社内の人口構成など、幅広く知っておくことが不可欠です。また、社内の情報だけでなくマクロ環境の変化など、社外の情報に敏感になることも大切です。問題を発見するには、さまざまな情報を組み合わせて、多面的な見方ができることが必須です。

社内外の人的ネットワークから的確な情報を得る

例えば、社内の人口構造の高齢者の部分が膨らんでいるとします。そこから読み取れるのは、数年でベテラン社員が定年退職でいなくなるということです。その多くが技能社員であるならば、技能の伝承をどうするのか、誰にどのように引き継ぐのか、引き継ぐ相手がいなければロボットに置き換えることは可能か…など、考えることがたくさん出てきます。

さまざまな問題の発見と、その解決策を考えるには、1人では限界があります。そこで、教育研修担当者にとって重要になるのが、社内外の人的ネットワークです。情報が氾濫する中で、的確に必要な情報を得るためには、幅広い情報網を構築しておくことが求められます。特に、「井の中の蛙」にならないためにも、社外にネットワークを持つことが重要です。

社外の人的ネットワークはダイバーシティが理想

社外ネットワークは人材開発に携わる人にかぎりません。望ましいのは、まさにダイバーシティです。所属先が大企業であったり、中小企業であったり、役所で働く人や、個人ジャーナリスト、そして、小学校から大学までの友人など。国籍、性別、年齢などが多様化し、バラエティに富んだネットワークであれば、1つの現象についての見方や考え方が異なり、多くの刺激を得られます。

人材開発には時代を背景に流行する言葉があります。最近では、「働き方改革」がその代表でしょう。「働き方改革」の定義も10人いれば10通りの解釈があります。自分なりの解釈を持ったうえで、社外ネットワークに意見を求めると、新しい発見や気づきにつながることがあります。また、困ったときに助言を求めることができる人がいることは、仕事を進めるうえで安心感を得られます。皆さんのネットワークはどの程度か、また、偏りがないか、あらためて検証してはいかがでしょうか。

ただ、人的ネットワークは、築くよりも維持する方が難しいことを忘れないでください。そのためには、情報を一方的に受信するのではなく、相手に対しても役立つ情報を発信し、Win-Winの関係を築く努力が大切です。

長期的課題への取り組みで信頼される人材開発担当者へ

第1回のコラムにも書きましたが、人材開発の仕事は、研修を実施するだけで仕事をした気になります。目の前の短期的な課題が山ほどあるからです。「長期的課題は短期的課題に駆逐される」と言われますが、長期的課題にも忘れずに取り組むことが大切です。長期的課題を思い出させてくれるのも、社内外のネットワークです。

会社を動かすのは人です。人を育てる最終責任は経営者にあります。経営者にとって、人材開発の担当者は人的ネットワークの1つです。初めて教育研修担当になった皆さんが、長期的課題にも取り組むことで、経営者から頼りにされる人材開発担当者になることを期待しています。

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