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教育研修担当が人材開発の課題を解決する

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初めて教育研修担当になった方へ 第2回

教育研修担当になって1年が過ぎたころ、先輩から言われた言葉があります。「君の仕事は、机に座って業務処理をすることではない。もっと社内を歩き回って、どこにどんな問題があるかを探り、その解決策を考え提案することだ」。

それまでは、レッスンプランを考えるなど、研修の内容ばかりに目が向いていました。研修体系全体を見て、

  • そもそもこの研修は何のために行うのか?
  • 本当に必要なのか?
  • なぜ会社がお金を出してまでやるのか?

といった「考えるべきこと」を考えていませんでした。先輩の言葉で、それに気づいたのです。

「社内を歩き回って、どこにどんな問題があるかを探り、その解決策を考え提案する」とは、教育研修担当者として、「人材開発の社内向けソリューション営業をする」ということになるかもしれません。

課題と解決策を考える

「人材開発の社内向けソリューション営業」は、一般的な営業と同じく、課題の仮説を立てるところから始まります。以下のようなプロセスで考えるとよいでしょう。

1. 計画達成のためにどのような課題があるのか?

例えば、「売上を3年間で1.5倍に伸ばす」という計画があったとしたら、どのような課題が想像できるでしょうか。商品構成は? 売るのは誰? ターゲットとするマーケットは? 価格は? 販促策は? など、さまざまな課題が想定されます。それらの課題を解決するのは人材です。各課題解決に求められる社員には、どのような能力が必要になるかを決めることが重要です。

2. 課題を解決するための人材が社内にいるのか?

人材のリストをいつでも出せるように用意しておく必要があります。これには社員の資格制度への登録や、研修履歴の整備が前提になります。

3. 人材がいなければ育てる時間があるのか?

必要とされる能力を満たすために、どのくらいのレベルまでどのように育成したらよいかを考えます。

4. 時間がなければ中途採用するのか?

中途採用をスムーズに行うためには、給与体系も考えておく必要があります。

人材開発と人事施策

これらのことを行うには、ある程度の人事情報も把握しておく必要があります。人事と人材開発の間に壁がある会社もありますが、そのような場合は、人材開発と人事施策は一体であるという視点に立った組織の改編も必要となるでしょう。

また、人材開発の仕事を担っていくには、正確な情報を把握し多面的なものの見方ができることが必須です。そのためにも、社内外の人的なネットワークをどれだけ築けるかが大事になります。次回は、そのあたりをお伝えします。

ちなみに、当時、教育研修担当という視点でしか仕事を見られなかった私が、「人材開発」という視点に見方を拡げることができたのは、その後の私にとって、非常にありがたいことでした。ラーニング・マスターズで30年間パフォーマンス・コンサルタントを続けてきた原点は、ここにあったかもしれません。

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