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組織改革のために必要なこととは?

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さまざまな角度からみる「自分事」としての組織変革

組織はなかなか変わらない?

先日、ある企業で、「働き方改革」についての話し合いの場に同席をしました。そこには、それぞれ「人事部」「営業部」「管理部」に所属している人がおり、活発に意見をぶつけ合っていました。

人事部曰く、「働き方改革は社長の肝いりだし、世の中も変わってきている。やらなきゃいけないことだし、やる意味としては…、みんなにとってのメリットは…」。

営業部曰く、「そんなに早く仕事が終わるなんてうらやましい。俺たちは22時まで仕事をして、それからやっと飲みに行ける。働き方変革なんて、無理無理」。

管理部曰く、「ウチの組織は恵まれていない。もっと私たちのやっていることを、会社にも、みんなにも認知してほしい」。

結局、皆それぞれの持論を展開しただけで、結論に至ることはありませんでした。

組織を変革する4つの切り口

働き方を含め、組織の改革や変革は、他人事として傍観しているわけにはいきません。自分事として、組織の変革について考えてみたいと思います。組織を変革するためには何が必要でしょうか? 課題はいろいろあると思いますが、4つの切り口で解決策を整理してみました。

【感情・パラダイムシフト】
会社がやろうとしていることと、社員の感情にはギャップがある

変革に向けて、会社が考える「良いこと」や「必要なこと」を、半ば強引に現場に“理解”させ、取り組ませようとするケースがあります。残念ながら、それを受け止める社員には、さまざまな感情がわき起こるため、誰もがその変化のスピードについていけるわけではありません。

変化対応(変革推進)にはプロセスがあります。制度やしくみ、ルールをいきなり変えても、感情がそれを受け入れなければ、人の行動は変わりません。改革や変革に直面すると、多くの人は、期待より不安を強く感じます。個人の意識や行動の変化なくして組織変革の成功はありませんから、双方のギャップを埋めることを、まず考える必要があるでしょう。

【合意形成】
立場が違えば見え方も違う

組織変革のような大きなテーマになると、立場の違いから合意形成が難しいという問題があります。立場や役割が違えば、意見や見え方が違って当然です。お互いが自分の主張をするだけでは、意見はぶつかるだけです。

皆さんは、数人で議論をしているとき、何を意識しているでしょうか。「…について話している」なのか、「…のメリットについて話している」なのかで、議論の質は変わってくると思いませんか? 後者は「メリット」といった形で議論の中身を絞っています。「メリット」の話が出たら、次は必然的に「デメリット」の話になるでしょう。こうした議論(思考)のプロセスを、全員が意識できているとしたら、どうでしょう。効率的に合意形成していくためには、押さえるべき議論(思考)のプロセスがあります。

【アイデア発想】
新しいことを始める→正解を過去の事例に探してしまう

私たちは、往々にして新しいこと(変革)に取り組もうとしているのに、過去の成功事例に正解を探そうとしていることがあります。今やろうとしていることが過去の延長線上にないのであれば、過去にとらわれることのない、創造的な発想が求められます。そして、「創造力」は、先天的なものではなく、開発可能な能力です。創造力を開発すれば、変革につながる「正解」を手に入れることができるでしょう。

【実行】
結局、実行するのは「人」である

「方針が良いのも分かった、良いアイデアもあるし、ぜひ取り組みたいと思う。でも、今の状況で実行するのは、余裕がなくて無理」ということも多いと思います。良い制度、良いしくみ、良いアイデアも、個人がそれを使える状態になければ、宝の持ち腐れです。

組織の質を向上させるためには、当然、そこで働く個人の質を向上させる必要があります。個人の働く「質」を向上させるためのキーワードに、「コントロール」「リラックス」「集中」が挙げられます。

頭の中がパンパンな状態から抜け出し、常に自分の仕事が「コントロール」できていて、焦りのない「リラックス」した状態を維持でき、やるべきことに「集中」できていたら――そういう状態の社員が増えれば、変革の実現に向けて、会社の方針の徹底や施策の推進もスムーズになるはずです。

重要なのは方針や施策の「打ち出し方」

「働き方変革」に限らず、組織の方針を、現場の理解を得ながら推進していくことは、容易ではありません。ときには、トップダウンで有無を言わさず、強引に推し進めることが求められる場合もあるとは思います。

しかし、言うまでもなく、「やらされる」よりは「自らやる」方が、良い結果を期待できます。行動を起こす動機づけには、「自己効力感(自分にもできる!)」と「結果期待感(役に立ちそう!)」が必要だと言われています。これらを感じられるような、方針や施策の打ち出し方(発信の方法)も、重要になるかもしれません。

竹内 成司

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  1. 【感情・パラダイムシフト】の問題に対応する、変革推進のプロセスを学ぶ
    変化を乗り切るためのマネジメント
  2. 【合意形成】を効率的にする、議論のプロセスを学ぶ
    思考の品質を上げるための思考スキル向上(Six Thinking Hats®)
  3. 【アイデア発想】に不可欠な「水平思考」を学ぶ
    水平思考による創造力強化(ラテラルシンキング Lateral Thinking)
  4. 【実行】する余裕を持つために、「コントロール」「リラックス」「集中」できる仕事術を学ぶ
    GTD® Getting Things Done® ストレスフリーの仕事術
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