立ち止まって考える意識の優先順位と割り当て
余裕がない子育てのストレス状態
先日、子育てに関する経験談や、日本の子育て環境への問題提起について、お話をうかがう機会があり、気づいたことがありました。
『親は、自分に余裕がないときほど、子育てに対する視野が狭くなり、やがて視野が狭くなっていることにすら、気づかなくなってしまっているのかもしれない』
私自身、忙しいときや仕事が気になっているときなど、子どもの言動が少しでも気になると、「危ない」「うるさい」「やめなさい」といった言葉がすぐに出てきます。それが繰り返されると、しまいには「いい加減にしなさい!」と怒鳴ってしまうこともあります。
この時の私は、子どもがなぜそのような言動をとるのかを考えることもせず、ただイライラしています。あらためて振り返ってみると、余裕がないときは、頭の中で「自分のすべきこと/したいこと」の優先順位が高くなっていて、そのせいで「子育て」に割り当てる意識が、少なくなってしまっているのだと思います。子どもが自分の思いどおりにならないと、「自分のすべきこと」の実行が妨げられるわけですから、できないことで不満が溜まり、ストレス状態になります。
実は、ビジネス現場での若手育成にも、同じことが言えるのではないでしょうか。指導する側(親)が忙し過ぎて、「自分のすべきこと/したいこと」に頭がいっぱいであれば、若手(子)に対する指導は、自分の邪魔になるだけのもの、という考えになりがちだ、ということです。そのような考えでいれば、遅かれ早かれ、不満だらけになることが容易に推測できます。
常に余裕を持って向き合うには
育成や指導に余裕を持って向き合うにはどうしたら良いか。下記のような質問を自分にしてみてはどうでしょう。
- 「(育成・指導することで)何を妨げられると感じているのか?」
- 「(育成・指導することで)失うと思っているものは何か?」
- 「私が今、育成・指導より優先しようとしているのは何か?」
自問自答をするうちに、頭の中が整理されて、引っかかっているものが見えてくることがあります。実は、意外と小さなことかもしれませんし、優先順位を下げてもよいことなのかもしれません。育成や指導がうまく行かないと思うときほど、立ち止まって考えることが大切です。
先日、公益財団法人日本生産性本部から発表された平成27年度新入社員のタイプは、「消せるボールペン型」だそうです。(参考:平成27年度 新入社員のタイプ|公益財団法人日本生産性本部)
このような傾向を持った若手にどう接したらよいか、頭を悩ませる方も多いかもしれません。前述したように、最初に『自分の頭の中を整理して、少し余裕を作ること』が大切だと思います。余裕を作ることで、若手の言動一つ一つに過敏に反応することもなく、落ち着いて指導に向き合えるでしょう。
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