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人と組織のエンゲージメント

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黒田投手の広島東洋カープ復帰から考える組織づくり

いよいよ、来週は野球好きにとっては待ちに待った球春到来、プロ野球の開幕です。今年こそは私の応援している横浜ベイスターズが浮上してくれるのではと、密かに期待をしています。横浜ベイスターズは近年、オーナーが変わり、監督も変わり、いろいろな変化が起きており…、という話はまた別の機会にします。今回はヤンキースの黒田投手が広島カープに今期復帰したことについて、人材開発や人材育成の視点で考察してみたいと思います。

今回の黒田投手の選択は、ある種の常識をはずれた選択でした。2014年度に推定19億円を超える年俸をもらい、結果も残していたため、ニューヨークヤンキースへの残留か、メジャーの他球団に移籍をする、と考えていた野球ファンは多かったのではないでしょうか。しかし多くの人の予想に反して、黒田投手は古巣の球団である日本プロ野球の広島東洋カープからの、4億円のオファーを受けて、日本球界への復帰を電撃的に決めました。

今回の件については、黒田投手自身の義理や人情といった個人的な面に注目が集まっています。しかし、私はメジャーリーグへと渡った優秀な人材を、単に金額競争ではない要因で取り戻した広島東洋カープとそのファンに、もっと注目すべきではないかと考えています。

金額だけを見れば、15億円の減額です。それでも黒田投手が古巣広島東洋カープに帰ってきたことは、彼にとって、広島東洋カープが特別な場所だったからだと思われます。それは育ててもらったという恩義かもしれませんし、「ファンの熱気を感じる。広島に帰ってきたなという感じです」という彼のコメントにもあるように、ファンからの熱い声援だったかもしれません。ただ、広島東洋カープが彼の中で、単なる日本の一プロ野球チームということ以上の、特別な存在であることは間違いないと思います。

さて、ここからが本題です。これを一般企業に置き換えてみるとどうでしょうか? 社員と会社が強い関係性で結ばれており、会社に対して愛着をしっかり持つということを、「エンゲージメント」という言葉で表現することがあります。エンゲージメントを、社員と会社の間で結べているというのは、社員にとって自社が「特別な会社」という思いを強くもっている状態とでも言えばよいでしょう。黒田投手とまではいかなくても、社員にエンゲージメントを感じてもらうのは、グローバル化していく状況で、優秀な人材を確保し、維持していくために重要な要素です。

そして、エンゲージメントを高めるうえでキーになるのが、「組織の理念・ビジョン」「メンバー」「労働環境(評価含む)」といった要素ではないかと、これは私見ですが、考えています。
1つめの「組織の理念・ビジョン」は、われわれはなぜ仕事をしているのか? そして将来どこを目指すのか? を示すこと。広島東洋カープは、日本で唯一の親会社を持たない市民球団としてスタートしており、広島地域に根づいて、熱心なファンも多い球団です。
2つめの「メンバー」は、良きメンバーと仕事をすること。黒田選手の場合は、チームメート、そしてなによりも熱心なファンの存在は大きいでしょう。
そして3つめの「労働環境(評価含む)」は、労働環境が適切であり、適切な評価があること。黒田選手は金額面ではかなりの減額ですが、慣れた日本の環境で野球に集中できることも、彼にとって大きかったと思われます。

私も人材教育・研修の会社で働いておりますので、パフォーマンスの向上に寄与する教育研修によって、上記のようなキーポイントに作用すれば、企業エンゲージメントを高めることができると思っています。優秀な人材を採用するだけではなく、定着させること、また、黒田投手のように戻ってくるような組織づくりこそが、持続可能な成長には必要なのではないでしょうか。

今回は、「今、自社は社員とどの程度の『エンゲージメント』を結べているだろうか」と見直すきっかけにもなるニュースだったのではないでしょうか。一度考えてみてください。

林 健太郎

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