急なトラブルでも仕事に穴を空けないために
皆さま、寒い日が続いていますが、体調を崩されてはいませんか? かくいう私は、先月ウイルス性胃腸炎を患い、数日間の療養生活を余儀なくされました。それで済めば良かったのですが、いざ職場に復帰してみると、何から手をつけてよいかを把握することも苦労する一方で、寝込む前に相談されていたことも思い出せず、周囲へ迷惑を掛けてしまったのです。
その経験から、今回は、急なトラブルが発生した際に計画の立て直しを図れる人と、図れない人の差をテーマにして考えてみます。
トラブル発生の対応力とは
今回の経験を踏まえて、私が感じた大事なポイントは、以下の3つです。
- 記憶に頼らない日々のタスク管理
- 同僚に仕事を委ねられる環境整備
- 計画完了までの段取りと“のりしろ”
1. 記憶に頼らない日々のタスク管理
今回、発熱が始まったころは、やり残した仕事が気になっていたものの、高熱の症状が長く続いたこともあり、回復したころには「何をやり残したのか」を忘れてしまう事態に陥りました。タスク管理は、自分の記憶頼みではなく、信頼できる媒体に、いかに文字情報として預けておけるかが大事であると、あらためて痛感しました。
当社の教育研修プログラム「GTD® Getting Things Done® ストレスフリーの仕事術」でもお伝えしていますが、情報の管理を自分のワーキングメモリー(短期記憶)頼みにしていると、何かトラブルがあった際に、復元のしようがありません。「思い出すこと」は、非常に困難です。
自分の業務とその状況を、「記憶」ではなく「的確な情報」として整理できているかどうか。トラブル発生からの立て直しには非常に重要なポイントです。
2. 同僚に仕事を委ねられる環境の整備
体調不良に陥ることは免れないとしても、それがお客さまへの対応遅延につながってしまうことは、可能なかぎり避けたいものです。その際、もしチームや組織で働いているのであれば、チームのメンバーにフォローをしてもらうことが、1つの選択肢として考えられます。
チームメンバーにフォローをしてもらう際に何が重要かを考えると、日ごろから自分の担当業務を可視化しておくこと、また、必要な情報は、担当者が不在でも引き出せるようにしておくことが挙げられると思います。
例えば営業担当者であれば、訪問後に商談の状況をチームの共有媒体に入力しているかどうかが、有事の際のフォローのしやすさに大きく影響します。内勤業務であったならば、自分が抱えている業務を、他の人がすぐに確認できるインデックス化などでしょう。
今回は幸い、同僚に訪問のフォローを依頼できましたが、日頃から情報共有を行う重要性をあらためて認識しました。
3. 計画完了までの段取りと“のりしろ”
「余裕のある計画か否か」という部分は、計画の立て直しを図るうえで、何より重要と言えるでしょう。そのためにできることを、GTDの考え方に沿って1つ挙げるとすれば、タスクが発生した時点で、いかに「完了した状態」と「完了までの段取り(ステップ)」を明確にイメージできるかが重要です。
経験不足などが理由で、「仕事が完了した状態」や「完了までの段取り」が明確に浮かばない仕事もあると思います。しかし、上司やチームメンバーに相談して確認することは、確実にできる行動です。
タスクが発生した時点で、完了までの段取りをしっかり計画することが、トラブルが発生した場合でも、柔軟な対応につながります。計画がしっかりしていないと、「何かが起こるたびに計画を練り直す」状態に陥るおそれがあります。
このように、「トラブル発生の対応」について改めて考えてみると、発生してからの対応ではなく、日常の仕事の進め方や、習慣ばかりを思いつきました。トラブルが発生した際の対応力は、その人の「器量」が垣間見える瞬間です。そこからうまく立て直せる人は、日ごろの姿勢がしっかりしている人だと言えるのかもしれません。