「シックス・シンキング・ハット」導入事例
新組織のプラットフォームとしての「思考スキル」
お客さまのIT系企業で、新しい組織が発足しました。営業・技術・サポートが一体となり、会社の「生命線」を握る重要顧客をワンストップで担当する組織です。それまで担当する専門分野で活躍してきたメンバーで構成されているため、部門長は、チームワークをどのように生み出せばよいかを悩んでいました。
そこで、単なる相互理解を目的にしたチームワークづくりではなく、新組織のミッションを実現するために必要となる、共通のプラットフォームになり得る「思考スキル」を全員で身につけることを提案しました。
提案したのは、思考の第一人者であるエドワード・デボノ博士が開発し、世界で認められている「思考の品質を上げるための思考スキル向上(シックス・シンキング・ハット)」です。
シンプルな思考スキル「シックス・シンキング・ハット」
「シックス・シンキング・ハット」は、「6色ハット思考法」とも言われます。6色の帽子(ハット)というシンボルを使って、それぞれの色に考える中身や話し合う内容といった役割を与えながら、そのとき集中すべき1つの思考に注視する思考法です。
6色ハット
- □ホワイト:客観的なデータや情報、事実を考える
- ■レッド:主観や感情、直感でどうかを考える
- ■イエロー:メリットや価値、良い側面を考える
- ■ブラック:リスクや弱み、懸念点を考える
- ■グリーン:アイデアや可能性、解決策を考える
- ■ブルー:(会議の場合)議題、進行管理、結論
この「シックス・シンキング・ハット」を使って、これからの戦略や、問題解決などを一緒に話し合っていけるようにするため、事務サポートメンバーを含めて、新組織の43名全員が研修を受講しました。
「シックス・シンキング・ハット」は、シンプルかつ実用的な思考法です。受講後のアンケートでは、会議や個人で考える場面でこれから活用できると、大変好評をいただきました。また、研修を企画したメンバーは、ツールを自作してミーティングスペースに設置したり、6色のポストイットを準備したりと、「シックス・シンキング・ハット」が使いやすい環境を整えたようです(写真参照)。
ところが、実際の会議や日常の場面になるとなかなか活用できず、ミッションの計画を立てても、途中で挫折してしまうといったことが起こります。部門長や秘書の方に話をうかがうと、会社からの「シックス・シンキング・ハットを使え!」というプレッシャーが強すぎて、せっかく学んだにもかかわらず、「シックス・シンキング・ハット」に対してメンバーが少し窮屈さを感じていたようです。
話の「焦点」を具体的に絞り込む
解決策として、主要メンバー12名に集まってもらい、フォローセッションを実施しました。軽いテーマと業務に直結するテーマの2種類を用意し、私のファシリテーションで議論します。業務に直結するテーマでは特に、皆さんつい「シックス・シンキング・ハット」を忘れて議論に熱中しがちでしたが、その都度修正を加えたことで、活用のタイミングも理解いただけたようです。
「シックス・シンキング・ハット」を活用するコツは、話のテーマ設定、「焦点」を具体的に絞り込むことです。研修でも模擬ミーティングなどを行いますが、実際の会議などの場で、繰り返し使用することで、理解が深まります。
フォローセッションに参加したメンバーからは、「営業会議での活用がうまくいった」などの事例も出てきて、今後の活用が期待される結果となっています。せっかく全員で学んだ共通の思考スキルですので、実務で無理なく活用できるようになるまで、引き続きサポートしていきます。