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「仕事に直結しない勉強は、やる意味があるのか?」をリベラルアーツで考える

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考え方や観念から「リベラル」になることの重要性

「勉強に何の意味があるの?」に、どう答えるか

「勉強に何の意味があるの? 社会に出て使うの?」これは学生時代に多くの人が持つ疑問ではないでしょうか。実際、社会に出てから、学生時代に学んだことが直接役立つという経験をするのは、かなり意識をしていないと難しいものです。その結果、社会人になってからの学びは、仕事に関連したことへの選択と集中へと進みがちです。

なぜそうなるのか、大きく2つの理由があると思われます。1つは、仕事関連で学ぶべきことが多く、それだけで手一杯になるという時間の問題。もう1つは、仕事に関係ない分野の勉強をするには、当然ながら費用を自腹で捻出しなければならないというお金の問題。勉強に対して、時間もお金もかけられる学生時代とは、今考えると、とても贅沢な時間だったのかもしれません。

冒頭の「勉強に何の意味があるの? 社会に出て使うの?」という疑問は、社会に出ている私たちにとっては、「仕事に直結しない勉強は、やる意味があるのか?」に置き換えられるかもしれません。この疑問に対して、私たちはどう答えていけばいいのでしょうか。

この疑問の答えを考えるうえでのキーワードが、「リベラルアーツ」という考え方です。これは私の母校でもある国際基督教大学が建学から一貫して教育の軸としているもので、近年は、大学教育や企業教育でよく話題にのぼるテーマです。

変化や変革に対応するための「思考や視点の自由さ」

リベラルアーツは「一般教養」と訳されたりしますが、この「一般教養」という言葉では本来の意味が伝わりづらいと私は考えています。リベラルアーツとは、“身につけることで多様な視点で事物を見て、それらをクリティカルに考えていくことで、自分の認識する世界を押し広げてくれるもの”です。“そのおかげで、何か1つの考え方や観念にとらわれず「自由(リベラル)」になれるもの”と、私は理解しています。

今のビジネス環境に目を向けると、変化や変革は、日常的に起こっています。想定外のことが起きる現代では、まさに上で述べたようなリベラルアーツがもたらす思考や視点の自由さというものが、活きてくるのではないでしょうか。だからこそ、企業教育でも、リベラルアーツという言葉を聞く機会が出てきているのだと感じています。

この視点で、「仕事に直結しない勉強は、やる意味があるのか?」という疑問に答えるとするならば、「何が仕事に直結するか分からない世の中では、無駄な学びはない」、さらに、「どこにでも仕事のチャンスはあるが、それに気づく力は、専門知識だけでは見えてこない」と答えることができると思います。もちろん、仕事をしていくうえでは専門知識も重要ですが、それは当然持っているべきことであり、現在のビジネス環境は、さらに先の力を求めているといえると思います。

基本的な思考方法を身につけてリベラルアーツへの入口に

リベラルアーツを身につけるには、どうしたらよいのでしょうか。大事なのは、さまざまな視点や物事を考えるために必要となる、基本的な思考方法を身につけることです。例えば、当社が提供している思考系プログラム「思考の品質を上げるための思考スキル向上(Six Thinking Hats®)」などの思考ツールを身につけると、リベラルアーツへの入口になるかもしれません。

林 健太郎

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