自律的なキャリア形成やリスキリング支援で変革を推進
自律的なキャリア形成に必要なスキル
「人生100年時代」などの社会変化を受けて、企業のリスキリング支援や、アップスキリング、自己研鑽を通して、自律的なキャリア形成が求められています。
現在、キャリア自律に求められるスキルは、デジタル変革スキル、ビジネススキル、キャリア転換対応スキルの3つに大きく分類できます。こうしたスキルが、社会や働き方、技術の変化に対応したキャリア形成の鍵になっています。
| 分類 | 具体的なスキル例 |
|---|---|
| デジタル変革スキル | DXスキル、データ分析、生成AI活用など |
| ビジネススキル | コミュニケーション、マネジメント、思考力、語学など |
| キャリア転換対応スキル | キャリアに応じた挑戦、メタスキル、コラボレーションスキルなど |
しかし、企業のリスキリング支援や、個人のアップスキリングといった話題では、「何から始めればいいか分からない」という声を聞くことが少なくありません。最初の一歩を踏み出すこともできない状態です。
立ちはだかる問題と課題
キャリア形成やリスキリングを考えるうえで、立ちはだかる問題と課題は以下の3つが考えられます。
- 目的があいまい
- 時間が取れない
- 学びを現場に活かせない
1. 目的があいまい
「何のために学ぶか」が明確にならないと、目指す姿も分からず、何が必要か具体的なスキルが見えてきません。「どのような状況で」「何を変えるべきか」具体化することが第一歩です。
2. 時間が取れない
「業務が忙しい」は、きっと誰もが浮かべる大きな理由です。しかし、学びは「空いた時間」ではなく、「確保した時間」に訪れます。個人のスキルアップであれば、1日5分からでも、まず学習のリズムを作ることが大切です。企業のリスキリング支援では、こうした環境を整えるしくみ作りをぜひ進めてください。
3. 学びを現場に活かせない
せっかく学んだ知識やスキルを職場で活かせない、活かすしくみがない場合もあるようです。1の「目的」と関連づけながら、上司やメンバーに理解を深めてもらうことが必要です。
「学ぶ目的」を考える
リスキリングでも、アップスキリングでも、新しい知識やスキルを身に付けることだけでなく、個人の思考を再設計することが求められます。
例えば、長年営業担当だった人が、これまでの成功パターンが通用しない状況に直面したとします。その場合、ただ新しい知識や新たな営業スキルを習得するだけではなく、個人の思考の再設計と学ぶ目的のアップデート、つまり、自分の役割や仕事の意味を捉え直し、自分はなぜ学ばなければならないのかを掘り下げて考えることが必要になります。
船の舵に取り付ける「トリムタブ」という装置があります。小さな部品ですが、巨大な船の進路を変える力を持っているため、「トリムタブ」という言葉は「個人の小さな行動が組織全体を動かす力を持ち得る」といった意味でも使われます。
個人の挑戦や変化は、トリムタブとして組織の方向性を変える力、変革の推進役になるかもしれません。リスキリングは、組織課題という大きな波として私たちの足下に押し寄せたり、個人のスキルアップは、小さなチャレンジとして日常行動に組み込まれたりします。うまくいくときもあれば、失敗するときもあるでしょう。しかし、まずは一歩を踏み出して歩き始めることが重要です。






