「考える力」や「論理的思考」だけでは補えない「伝える力」
早いものでもう年末です。この時期になると、来期の研修企画を進めるお客さまも少なくありません。よく話題になるのは「若手の“言葉で伝える力”」です。
「最近の若手は話すことが苦手」
「資料づくりはうまいから、余計に説明下手が気になる」
「我々のころと比較して知識は多いはずなのに、それをうまく伝えきれない」
「ロジカルシンキングをしっかり学んでいるのに、どうしてだろう」
この問題が「最近の若手」に限ったものであるかはさておき、会話や説明などの口頭コミュニケーションにおける「言葉で伝える力の弱さ」は人材開発でよくあるテーマの1つです。では、どうすれば「伝える力」を高めることができるでしょうか。今回は、実際にお客さまとよくディスカッションをする3つのポイントをご紹介します。
1. 方向性のある話ができるか
伝える内容が論理的であることは、当然ながら重要です。しかし、会話や説明の場面で必要なのは、「ロジカルシンキング」ではありません。
原因を特定して、対策方法を検討する手法に「特性要因図(フィッシュボーン)」というものがありますが、どんなに有用でも、「○○さん、その問題についてフィッシュボーンで整理しますので、しばらく待っていてください」とその場で検討し始めてしまうのは、良い口頭コミュニケーションとは言えません。
口頭コミュニケーションで必要なのは、話を聞く相手が混乱しないための「筋道」です。話の方向性を考える能力が1つめのポイントです。
2. 考えながら話せるか
例えば、相手から少し難しい質問を受けたとします。方向性が明らかで内容のある話をしようと30秒間黙り込んで考えるよりは、内容が乏しくてもまず0秒で話し始めてから、筋道を立てて答えにつなげるほうが、より良い口頭コミュニケーションになります。
話し始めたものの、ゴールがはっきりしていなかったり、想像よりスムーズに話せなかったり、相手の反応が悪かったりといった場合には、状況によって適切な対応が求められます。話しながら考えて結論をまとめたり、筋道を修正する力が必要です。
瞬発的に、持続的に、考えながら話せる能力が2つめのポイントです。
3. 経験学習ができる環境か
口頭コミュニケーションの向上に何よりも大切なことは、良質な経験学習ができるかどうかです。例えば、こういった環境が求められます。
- 折にふれて商談やプレゼンなどの場面がある
- 口頭コミュニケーション能力が高い人の伝え方に触れる機会がある
- 成長のために話し方のフィードバックを受けられる
- 仲間の成長から刺激を受けられる
- 【2020年1月開催 無料セミナー】フォーマット(型)で会話力向上
- 重要な知識も、的確な提案も、相手にしっかり伝わることで初めて効果を発揮するものです。さまざまな場面で役立つ「伝える力」を高めるスキルをご紹介します。
- 【2020年1月開催 公開講座】考えをまとめるスキル・説得するスキル(Think on Your Feet®)
- 「6つの話題構成パターン(プラン)」を知ることで、どんなシチュエーションでも、自分の考えをすばやく整理し、相手に分かりやすく伝えられるスキルを身につけます。
「言葉で伝える力」はベーシックなスキルです。さまざまな方法で経験を積むことができますし、組織として向上の仕組みを作ることも可能です。「“頭に汗をかく”トレーニングを、どう“頭でっかち”にならずに用意できるか」がポイントと言えるでしょう。
以上、3つのポイントをご紹介しました。
ラーニング・マスターズでは、2020年1月に、「相手に伝わる話し方」「分かりやすく伝える力」を高める研修プログラムの一部を無料セミナーとして実施します。また、さらに本格的に学びたい場合は、標準の研修プログラムをさまざまな組織や環境の方と一緒に受講できる公開講座の開催も予定しています。「伝え方」のスキルが身につくプログラムを、ぜひ学んでいただきたいと思います。
それでは皆様、良いお年をお迎えください。