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「自己実現」で人生のキャリア形成を考える

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キャリア形成を考えるヒント
「選ばなかった方の人生」 第2回

「ああしておけばよかった」と感じる転機

人生とは「転機」の連続です。転機で選択した道を進んだ結果が人生になりますが、今回は、その選択で「選ばなかった方」の人生から自己実現とキャリア形成を考えていきます。

転勤を伴う異動や、転職、結婚、住宅購入など、人生において転機と呼べる重大な選択が多くあります。どんな選択をしても、「ああしておけばよかった」と感じる気持ちは多かれ少なかれ残るでしょう。

例えば、転勤の辞令を断って、自治会メンバーとしてお祭りやスポーツ少年団に関わりながら、地域貢献の日々を過ごしている人がいるとします。普段は気にしていませんが、自分が断った転勤で異動した同僚の活躍や昇進を耳にすると、自分も同じ活躍をしたかったと、過去の選択を悔やむ気持ちが浮かびます。この自然に湧き上がる気持ちから逃れることはなかなかできません。

2つの選択肢を両立して、2つの人生を歩むことができれば良いですが、当然それはできません。歩むことができる人生は1つだけです。人生とは、自分に用意された1人分の「枠」をどうやって納得できるもので埋めるかという作業だと言えます。

自己実現とはありのままの「自分」を認めること

心理学者のアブラハム・マズローが「自己実現理論」を提唱しています。「欲求5段階説」とも呼ばれますが、人間の基本的欲求を5段階の階層としてピラミッド状に並べたものです。上にいくほど高次の欲求であるとされています。

マズローの自己実現理論

マズローの自己実現理論(欲求5段階説)

  • 自己実現の欲求 (Self-actualization)
  • 承認の欲求 (Esteem)
  • 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
  • 安全の欲求 (Safety needs)
  • 生理的欲求 (Physiological needs)

下位の4つ(生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求)は「欠乏動機」とも呼ばれ、不足すると不満に感じる欲求です。それに対して、一番高次に位置する自己実現の欲求は、「成長動機」と呼ばれ、“成長すること”そのものが目的になるものです。

人生を過ごすうえで、人は自分の「枠」を4つの欠乏動機で埋めていきます。その過程で、成長動機にあたる自己実現の欲求が生まれます。自己実現とは、一般的にありたい姿を達成することだと言われていますが、それだけではありません。自分が持っているものを、良くない部分も含め、ありのままの「自分」だと自分で認めて、周囲に認めさせるという意味もあります。

先ほどの例で言えば、転勤先で同僚のように活躍したかったと感じることも、現在の生活に納得していることも、どちらも自分だと認めること、そしてそれを周囲の人に認めてもらえることが、自己実現の1つの姿です。

キャリアとは、人生そのものであり、自己実現はキャリア形成の完成形です。「選ばなかった」人生を認めるプロセスは、キャリアの完成に近づくことになります。

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