キャリア形成を考えるヒント
「選ばなかった方の人生」 第3回
偶然によってたどり着く「天職」
自分の現在の仕事に違和感を持っている人は多く、資格の取得を目指したり、カルチャースクールに通ったり、転職を繰り返したりする場合もあるでしょう。まず天職を見つけて、そしてそれに向かって頑張ろうと考えている人や、天職を探すこと自体が人生の目的になっている人もいるかもしれません。
キャリア理論研究者のナンシー・K・シュロスバーグは、「人生とは転機の連続であり、それは偶然に支配されている」と提唱していることを、第1回でお伝えしました。つまり、自分が就いているのは天職だと感じている人も、そうではない人も、同じように偶然によってそこまでたどり着いたと言えます。
天職に出会うことが偶然によるものだとすると、必要なことはまず、偶然に出会うための心構えをすること。そして、そこで出会った仕事が、天職かどうかを確かめる方法を知っておくことです。
1. 天職に出会う心構え
偶然に出会うための心構えの重要性は、同じく第1回で紹介したキャリア研究者のジョン.D.クランボルツが展開する「計画された偶発性理論」という考え方に基づきます。次の5つの心構えによって偶然に働きかけることで、積極的にキャリア形成の機会を引き寄せるというものです。
- 好奇心 (Curiosity)
- 持続性 (liresistence)
- 柔軟性 (Flexibility)
- 楽観性 (Olitimism)
- 冒険心 (Risk-taking)
どれだけしっかりとキャリアデザインをしていても、偶然の出来事によって覆されてしまうのが人生です。天職に出会うためには、キャリア形成の機会を作り出すことが重要になります。
2. 自分にとっての天職を確かめる
実際に出会った仕事が天職かどうかを確かめる方法は、次の3つです。
- 自分にできる仕事である
- 自分が興味を持てる仕事である
- その仕事をすることに価値を感じている
「天職」を探すのではなく、目の前の仕事に打ち込むことで、3つの条件を判定できるようになるという順番になります。
経営学者である金井壽宏教授は、常にキャリアのことを考えておく必要はなく、キャリアの節目と思える状況で、しっかりとキャリアデザインすることを「キャリア・トランジション」論で提唱していますが、それはこういった理由によるものです。
自分の人生を切り拓く行動を
人生は、長いけれど有限です。だからこそ、自分探しの旅をするのではなく、自分の人生を切り拓く行動を開始しましょう。そのヒントは、「自分がいま、偶然の転機にいるのではないか」と疑えるかどうかです。さもなければ、人生の終わりに到達しても、何者にもなれていない可能性があります。
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- 第1回 転機で「選ばなかった方」のキャリア
- 第2回 「自己実現」で人生のキャリア形成を考える
- 第3回 人生の天職に出会うために