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「社員に選ばれ続ける企業」を目指す
 包括的な人材育成

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企業と働く人の視点から見る2024年上半期

当社では、新入社員から役員層まで、幅広い人材育成のお手伝いをしています。皆さまの課題に包括的に携わるパフォーマンス・コンサルタントとして、各社の人材育成に関わりながら考えたこと、見えてきたことを、私見ながら2024年上半期の振り返りとしてお伝えします。

  • 1. 現場での人手不足
  • 2. 働く場所として選ばれる
  • 3. 内省の強化

1. 現場での人手不足

まず顕著なのが、「人手不足」です。特に、現場に関わる課長以下の層で感じます。

  1. 課長となる人材不足
  2. 中堅世代の減少
  3. 新人・若手の労働人口減少と就労意識の変化

そうなってしまう理由や原因はそれぞれにありますが、管理職になりたくない層が増加し、また、これは次の項目とも関わりますが、30代~40代の人材が極端に少ない年齢構成になっている企業も多く、管理職候補者も減少する傾向にあります。

20代の新人・若手層は特に、転職へのハードルが以前に比べてとても低いこと、そして世代の絶対数も限られています。こういった要因で、現場の人手不足が顕在化しています。

給与などの待遇改善は話題になりますが、必要なのは、それだけではありません。この問題への対策は、人材育成だけではなく、人材採用での動きも、とても重要になります。また、採用が成功した後も、企業にとって必要な人材に対して、企業側の積極的なアプローチが必要な時代になったのかもしれません。

「自然と人材が定着している」ケースはありません。社員に選ばれ続ける企業となるために、企業ができることは何か? 答えは多様でしょうが、その1つに人材育成があるように思います。

2. 働く場所として選ばれる

働き方改革の流れから、副業禁止を撤廃する企業も増えてきました。趣味をテーマにしたYouTubeなどでも、配信を副業にしていたり、また、人気が出るなどして、その道一本でプロとなるケースも少なくないように感じます。

このように、以前は当たり前だった「企業に就職して給料で生活する」終身雇用を前提にしたサラリーマンモデル以外にも、生活を成り立たせる道が、どんどん広がっています。企業は、「なぜここで働くのか」の答えを、従業員に見つけてもらうように関わっていく必要があります。

福利厚生など、企業に所属するメリットは依然として大きいと思います。そうした環境にあぐらをかくことなく、積極的な取り組みが求められます。企業の理念やビジョンをもとに、「我々が企業活動をしている理由はここにある。あなたはどう思うのか」という問いかけをしっかりしていく必要があるでしょう。

3. 内省の強化

1と2は、企業側の視点ですが、3は働く側の視点です。現在、労働市場は売り手市場にありますが、採用する企業も、「誰でもいい」と思っているわけではありません。では、企業から選ばれる人材とは、どういった人でしょうか。

私は、「自分のことが語れる人」だと思います。語るべき経験を持つことは前提として、経験に対して何を考え、何を感じて、何を学び、今の自分にどうつながっているのか。そういったことをしっかりと言葉にできる人に、成長の可能性を感じます。

ただの「スペック」だけではなく、激しい変化の中でも成長してくれる人材――それはつまり「内省上手」、すなわち経験から学びながら、柔軟に成長していく人材です。新卒のみならず、転職でも重要になるでしょう。

講師として研修に登壇していると、入社以来、あまり振り返りをせず、内省の経験がほとんどないといった人も多いように感じます。変化の激しい時代です。人が成長し、ひいては組織が成長するためには、内省について、量と質の両面での強化が必要だと思います。

正解のない時代ですが、下半期、そして2025年以降に向けて、引き続きお客さまと一緒に考え、ディスカッションも交えながら、少しでも良い未来を作るお手伝いをしてきたいと思っています。

11月には、「初めて教育研修担当者になった方に」と題して、教育担当者に必要な視点をお伝えする無料セミナーを実施予定です。忙しい教育研修担当者が考えるべき、企業教育の〈目的〉とは何か? なぜ、企業は社員を教育するのか? 企業教育の目的に立ち返ったうえで、その目的達成のために、必要となる考え方をお伝えします。ぜひご参加をお待ちしています。

林 健太郎

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