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仕事への動機づけ - 企業理念と部門理念

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新入社員を3年で辞めさせない配属と教育 第2回

所属組織と働く意義を理解する

仕事に対して漠然としたイメージはあっても、具体的に何をしたらよいか分からない新入社員には、入社後すぐに、「この会社は何のために存在しているのか」を教えましょう。仕事への動機づけには、「企業理念」の理解が重要です。

本来ならば、企業理念に賛同して入社するのが望ましいのですが、既存社員にすら企業理念が浸透していない企業の場合、それを求めるのは無理でしょう。

もう1つ重要なことは、新入社員が配属された「部門理念」もあわせても教えることです。自部門の理念は、仕事の目的を規定したものであり、これを新入社員に伝えることは、「なぜこの部門で働くのか」といった働く意義を理解させるために、とても重要です。

心ある上司(管理者)は、配属された新入社員に、部門理念を企業理念と整合性をとりながら語りますが、多くの管理者はそうではありません。管理者自身が、働く意義を見いだせていないからなのでしょう。ここに大きな問題があります。

企業理念と部門理念の果たす役割

では、あらためて、企業理念と部門理念の果たす役割を整理します。役割は、大きく3つあります。

1. 判断基準

意思決定の基盤をなすものであり、自分の行動に迷ったときは、理念に照らし合わせて判断することになります。

2. ベクトル合わせ

職場は、派遣社員や契約社員、協力会社の人など、契約形態の違う人々と一緒に働く環境であり、さまざまな価値観がそこに存在します。異なった価値観を持つ人々のベクトルを、1つの方向に合わせます。

3. 動機づけ

企業では必ず、期ごとの目標が示されます。具体的な数字で示されるケースもあれば、定性的な目標もあります。しかし、職場で働く人にとって欠かせないことは、「何のためにその目標を達成しなくてはならないか」といった背景の理解です。

“辞めない社員”をつくるには

企業の中には、外部から見ると、何のためにその組織が存在するのかが、よく分からない――すなわち、縁の下の力持ち的な組織や、「花形」ではない組織があります。そのような組織に配属された新入社員が、同期と集まったときに、「君の組織は要らないのではないか、何の役に立っているのか」などと質問されたら、どうでしょう。

落ち込んでしまうとすれば、それはすなわち、所属組織の存在意義を知らないからです。普段から、組織の上司が部門理念をきちんと説明していれば、仕事に誇りを持ちますし、同期の質問にも、きちんと反論できます。

営業担当になった新入社員の中には、客先から、自分のプライドを傷つけられるような言葉を投げかけられることがあります。あるいは、信頼関係が築けたと思ったお客さまから、裏切られるようなこともあり、ひどく落ち込みます。そのようなときに、気持ちを奮い立たせるのも、働く意義や自分の存在理由を明確にする部門理念です。

このように、最初の段階で、自分が配属された組織が何のために存在するのかを十分に理解できれば、会社の中でぶれない軸が構築され、物事に動じない、“辞めない社員”になるのではないでしょうか。

次回は、理念のほかに、仕事への動機づけになる要素について触れることにします。

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