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「説得力」は重要な管理者能力である

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TOYFnet参加報告

今年もTOYFnetと呼ばれる国際カンファレンスに参加してきました。TOYFnetというのは、キース・スパイサー博士によって開発された研修プログラム『Think on Your Feet®(シンク・オン・ユア・フィート)』を提供する世界各国の代理店が集まり、情報交換を行う機会です。

ラーニング・マスターズでは、このプログラムを「考えをまとめるスキル・説得するスキル」の名称で提供しています。邦題にも言葉が入っているとおり、「説得力」の向上につながる内容として、世界各国で実施されているプログラムです。今年の開催地はベトナム(昨年はルーマニア)ということもあり、アジアを中心に12カ国から20数名の参加者が集まり、2日間に渡って活発な情報交換が行われました。

このコラムでは、人材育成を担当されている皆さまへ、今回のカンファレンスでの内容をもとに、業務上、参考にしていただけると思うことを、以下の3点に分けてお伝えします。

  1. 日本での『Think on Your Feet®』の対象者
  2. 海外での『Think on Your Feet®』の対象者
  3. 管理者能力と「説得力」

国内外で異なる「説得力」の現状とこれから

1. 日本での『Think in Your Feet®』の対象者

ラーニング・マスターズでは、この教育研修プログラムを、公開講座として東京と大阪で年間10~15回、そして、企業研修としても数多く実施しています。受講される方々の属性は、業種も職種もさまざまですが、1つの大きな特徴があります。それは、ほとんどの方が一般職層、つまり「管理者ではない方々」であることです。

皆さんの会社では、「説得力」(あるいは、それと似たテーマである「説明力」や「プレゼン力」などの、口頭コミュニケーション)をテーマとした研修を、どのような方を対象に実施されているでしょうか。私の認識しているかぎりでは、管理者層に「説得力」(や口頭コミュニケーション)をテーマとした研修を実施している企業は、決して多くないように思われます。

2. 海外での『Think on Your Feet®』の対象者

海外では、日本とは異なり「管理者層」を対象に行うケースがとても多いようです。それも中級管理者、いわゆる部長や課長クラスだけでなく、上級管理者である事業部長や本部長クラス以上も、この研修を受講するようです。なぜ、海外と日本で、このような違いがあるのでしょうか? 今回のカンファレンスで、この点を象徴するような、興味深いセッションがありました。それは以下のようなものです。

会議の参加者全員で、『Think on Your Feet®』を英単語1語でクライアントに示すとするならば、どのようなものがあるかを、A~Zの順に全員で挙げました。120以上の単語が挙がりましたが、その後、どれが最もピッタリ当てはまるかを全員で投票した結果、1位だったのが“Leadership(リーダーシップ)”でした。

どうやら海外では、「説得力」はリーダーシップの要素として認識されているようです。このあたりに、海外と日本の受講対象者の、傾向の違いの一因があるという気がしました。

3. 管理者能力と「説得力」

日本語に「あうんの呼吸」や「空気を読む」といった言葉があるように、海外と比べて「コンテント」(中身)より「コンテクスト」(文脈、状況)を重視すると、以前から言われています。もしそうだとすれば、日本では「説得力」を始めとする口頭コミュニケーションの重要性が、海外と比較すると相対的に低いのかもしれません。

しかし、仮にこれまでがそうであったとしても、言わずもがな、世はグローバリゼーションです。この言葉は日本だけのものかと思いきや、今回のカンファレンスでもキーワードの1つとして挙がっていました。これからの時代は、さまざまな場面での説明責任が、非常に大きな役割になっていくはずです。そこでは、「説得力」は無視することのできない重要なスキルです。仕事上で関わる人の数と、その多様性(上司、部下、同僚、他部署、社外…)を考えると、管理者であれば、なおさらではないでしょうか。

では、なぜ日本では「説得力」の向上が、管理者層の育成プログラムの一環に組み込まれてないのでしょうか。例えば、日本ではどこでも、「説得力」のある人が管理者になっている――という仮説を立ててみましたが、そうとも言えないと感じるケースをよく見かけます。そこで、管理者に必要な能力と「説得力」を結びつける研究はないだろうかと調べてみたところ、ありました。その研究は企業のR&D部門のマネジャー(管理者)の行動を調査したものですが、「説得力」が部下の成果や職務満足に、正の相関があるというものです。
※ただし、部下からの日常的な信頼蓄積があってのことですが。(1991,金井)

あまり無責任なことは言えませんが、R&D部門に限らず、きっと他部門のマネジャー(管理者)でも同様のことが言える気がします。皆さんはどう思われますか?

以上、ここまで3点に分けてお伝えしてきました。

ますます進むグローバリゼーションがもたらす管理者への影響や、国内外での管理者行動やリーダーシップに関する、さまざまな研究や書籍に書かれている内容を、帰国後に読み直してみますと、「説得力」は管理者にとって無視することのできない能力であると確信しました。今回のカンファレンスは、管理者に必要な能力に関する認識を新たにする、良い機会となりました。

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