SMARTで目標達成

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一年の計は元旦にあり

人材開発に関してご関心をお持ちの皆さまは、年末年始のお休みに2014年を振り返り、新年に向けた目標設定を、すでにされたかもしれません。

私は、研修を実施するときに、「4MAT理論 ※1」という教育理論にのっとり、プログラムの最後に、「研修内容を踏まえて、今後どのような目標を立てますか? そのために、日々どのような言動をとっていきますか? もしくは、どんな言動を改めていきますか?」といった問いかけを、参加者の皆さまに対して、必ず行います。

しかし、この時間で立てた計画を実際に遂行することは、決して容易なことではありません。そこには、自分の甘えや、怠慢、環境変化、時間の不足、資金の不足など、さまざまな要因があり、計画が暗礁に乗り上げてしまうようです。

さて、2014年を振り返って、皆さまの掲げた目標は、どの程度達成することができたでしょうか?(「100%達成することができた!」という方には、この後の内容は読み飛ばしていただければと思うのですが…)

目標達成できなかったケースの多くには、「立てた計画が適切ではなかった」という要因があるかと思います。「一年の計は元旦にあり」という故事は、元旦は新たな計画を立てるのに良いタイミングであるという解釈で使われていることが多いようですが、その背景には、「計画は早めに立てることが大事である」とか、「物事を始めるにあたっては、最初にきちんとした計画を立てることが重要である」といった教えが含まれています。

そこで、新年の最初の記事は、2015年に立てた、皆さまの目標が本当に実現できるよう、目標設定に関する理論を踏まえ、目標を見直していただく際に、参考となるチェックポイントをお伝えできればと思います。

1. その目標は明確か否か? Is it Specific?

「●●プロジェクトをがんばる!」「健康的な生活をする」など、目標の中身やレベルが具体性に欠ける場合は、取るべき行動の焦点が定まらないために、効果的な行動計画を立てることが難しくなります。その気持ちを大事にしつつ、それを達成するために、「どのような状態を、誰に協力をしてもらって、どうやって達成するか?」と自問自答をしてみると、より具体的な目標が定められるかと思います。

2. その目標は適度に高い目標か? Is it Meaningful?

「机の上をきれいにする」といった、1日努力すれば達成できてしまう目標よりも、「社内の誰よりも整理されている机を維持する」といった、達成が難しい目標の方が、人は集中力が高まり、行動を継続できます。高すぎる目標は、当事者のモチベーションをかえって低下させるという研究結果もあるため、その加減は難しいところがありますが、目標が自分にとってやりがいを感じられる、ほどよい高さになっているかどうかを、あらためて確認してみてください。

3. その目標に本当に納得しているか? Do you Agreed to?

困難な目標になるほど、達成が難しくなります。その際、目標に納得できている場合は、それに向けてチャレンジを続けられますが、納得ができていないケースでは、その行動の継続が難しくなります。すなわち、目標達成には、目標に向けた行動を、継続するモチベーションで維持できるか? という点が重要になってきます。営業の現場で、期初から「この目標値は高すぎて受け入れられない」と感じている人が、途中で目標達成に向けた努力をあきらめてしまうケースは、このテーマでの典型的な失敗例です。自らが掲げる目標であれば、納得できているテーマが多いと思いますが、「家族に言われて…」「お医者さんに言われて…」「流行っているので…」といった、そこに自分の意志が希薄なテーマであれば、考え直す必要があるかもしれません。

4. その目標は現実的ですか? Is it Realistic?

前述のとおり、高すぎる目標設定は「届かない」と感じたときに、モチベーションを下げてしまうというリスクがあります。例として、グローバル化の動きを受けて、英語力に関する目標設定をされる方も多いかと思いますが、現状、TOEICで400点前後の方が1年で900点以上を目指すとなった場合、仕事で英語に触れる機会があるならともかく、週末の1~2時間の学習のみで達成するのは、非常に困難な目標であると考えられます。このケースのように、目標値が、現状で活用可能な時間や資金を踏まえて現実的であるか? という点は、行動を継続するうえで大事なモチベーターとなります。その道の有識者に、目標値が妥当かどうかを確認してもらうことは、効果的な目標設定をするうえでは大事になるでしょう。

5. その目標に期限は設定されていますか? Is it Time-related?

目標を具体的な行動に落とし込むうえでは、いつまでにそれを達成するのか? という観点が重要になっていきます。例えば、年末までに5%の減量達成する目標と、半年後に5%の減量を達成するという目標では、取り組むスピード感や行動計画は、かなり大きく異なってくるはずです。複数のステップを経て達成する目標であれば、なおさら、そのマイルストーンごとの期限を設定しないかぎりは、順調に進めることは難しいと考えられます。

これらの目標設定に関する5つのポイントは、英語の頭文字を取って「SMARTの観点」と呼ぶ、有名なフレームワークですが、これは簡単なようで、本当に理解し実践できている人を見かけることが、非常に少ない考え方です。

2015年の目標も立てたばかりであれば、見直すことにも抵抗感は少ないかと思います。ぜひ、ご自身の計画を紙に書き出し、より精度の高い内容にバージョンアップしていただければ幸いです。

※1 The 4MAT® Model© 1980, 1981, 1987 Bernice McCarthy

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