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「習得」するための継続する仕掛けづくり

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継続を繰り返していくための研修設計

人の学び〈獲得〉と〈習得〉

人間が言語を使えるようになるには、大きく分けて〈獲得〉と〈習得〉という2つのパターンがあると考えられています。

通常の環境下では、生まれてからの発達によって、特別な訓練なしで第一言語(母語)を獲得します。ある程度の年齢までに、自然と母語を使えるようになることを〈獲得〉と表現しています。これに対して、第二言語は自然と使えるようになることは難しく、何らかの訓練や練習が必要となることがほとんどです。それを、〈習得〉と表現しています。

〈獲得〉と〈習得〉の例

獲得 成長していく間に自然と母語を使えるようになること
習得 何らかの訓練や練習を経て、新たな言語を覚えること

第一言語でも、口話は〈獲得〉できますが、文字の読み書きには〈習得〉が必要です。私たちも、小学生のころは、かなりの時間を基本的な読み書きに使っていたはずです。〈習得〉は、そのぐらい手間と時間がかかることです。たとえば、現在英語学習に励まれている方などは、実感がある部分かと思います。

〈習得〉が発展の鍵?

「ヒトのシステムが、すべてのものを〈獲得〉するようにできていれば、こんな苦労はないのに…」。習得することに四苦八苦していると、こんなことを感じます。さまざまな要素が生得的であれば、たしかに楽かもしれません。しかし、〈習得〉があるからこそ、ヒトには多様性があり、変化対応ができると言えるのではないでしょうか。

〈習得〉には、個人の意思や、周囲の社会、文化などさまざまな要因がからんできます。そういったシステムの「遊び」があることが、ヒトという種をここまで発展させてきたのかもしれません。

ラーニング・マスターズは、教育や研修を主に扱っていますが、これは〈習得〉を扱っていると言い換えられます。〈習得〉は、前述したとおり、身につけるのに時間がかかり、また意識的に取り組まないといけないため、難しいものです。

学生時代ならば、練習や課題に繰り返し取り組む時間があったかもしれませんが、社会人になると、どうしても時間を潤沢には取れません。そんなとき重要になるのが、「効率的な学び方」と「継続」の2点です。

継続と効率的な学びに求められるフォロー

「効率的な学び方」でのポイントは、自分の経験に引きつけて、新しく学ぶ事柄をリンクさせることです。当社でも、「4MAT理論」という経験学習の理論に基づいた研修設計を行っています。実践につながりやすく、現場で活用しながら学びを深めることにもなります。

もう1つのポイントは「継続」です。当たり前のことですが、何事も、継続的に挑戦していかなければ、できるようにはなりません。しかし、愚直に続けることの大変さは、誰もが共感できることではないでしょうか。

学んだことを〈習得〉するには、何かしらの「継続する仕掛け」が必要になります。そのような「継続」に関するお客さまからのご相談も、近年増えています。企業教育や学校教育において、「研修教育実施の質」、「継続させるための、事後の仕掛け」、「丁寧なフォロー」といった部分は今後さらに重要になっていくと考えます。

林 健太郎

 

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