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営業担当者が知るべき
「お客さまの真のニーズ」

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お客さまはなぜ取引するのか 4つのニーズから考える

お客さまのニーズを把握するために

お客さまは、さまざまな理由で物を購入したり、仕事を発注します。一方、多くの営業担当者は、自社の商品の良さをいかにアピールするか、一所懸命に考えて、お客さまに理解してもらおうとします。しかし、営業のアピールポイントと、お客さまのニーズが違うことがよくあります。その原因は、まず、営業担当者がお客さまのニーズを十分に把握していないことです。

ニーズを把握する鍵は「質問」が握ります。質問は、「どのように行うか(HOW)」と「何を質問するか(WHAT)」の2つの部分に分かれますが、ここでは「何を質問するか」について考えてみましょう。

ニーズ把握のための質問の場面では、「お客さまの立場に立って考えろ」「お客さまの気持ちを察しろ」と言われますが、何を質問したら良いかは、ヒントがないと考えられません。そこで、お客さまが期待していることを察知するヒントとして、まずは取引する理由を考えます。

「取引する理由」?

今回は、生産財営業の例で考えてみます。生産財とは生産手段として使用される財(広辞苑)で、生産者が製品やサービスを生み出すために購入する、原料や設備のことです。したがって、生産財営業の対象になるお客さまは、企業が主になります。

企業が取引する理由には、どんなことが考えられるでしょうか。営業担当者の人柄が良かったとか、フィーリングが合ったなど、人に関する理由もありますが、ここでは人以外の要素について考えてみます。予算内に収まった、支払い条件が良かった、性能・品質・仕様が要求どおりであったなど、さまざまな取引条件を満たしたことが挙げられるでしょう。もちろん、取引条件を満たすことは重要ですが、取引条件は表面的なニーズです。それは真のニーズを具現化したものにすぎないからです。具現化したニーズに応えるだけの営業を、「ご用聞き営業」と呼んでいます。

ここで重要なことは、取引条件のさらに先、真のニーズを想定してみることです。真のニーズを企業の立場で考えると、大きく以下の4つになります。

企業の「真のニーズ」

1. 利益をあげたい

企業は利益をあげないと存続できません。取引によって利益をどの程度あげられるかを見極め、取引するかどうかを判断します。

2. コストを削減したい

無駄な経費を削減して、結果的に利益の向上につなげたいという考えです。1のニーズ「利益をあげたい」と対をなすものと考えられます。

3. 品質の向上を図りたい

企業活動には競合がつきものです。競合状況を考えると、製品やサービスの質の向上が欠かせません。営業担当者の扱う商品やサービスが、企業の品質の向上につながるかも、重要なニーズです。

4. 手間や工程の削減をしたい

もっと効率の良い作業ができないか、省力化を図れないかについても、お客さまは常に考えています。

これらのニーズを満たせるかどうかで、取引をするか否かを決断します。

課題解決のための「質問」

営業担当者が訪問する企業は、長期にわたり存続し続けることが求められています。そのため、企業には一定の成長が欠かせません。成長するためには、さまざまな課題を解決する必要があります。

どんな課題があるのかを考えるヒントが、先に挙げたお客さまの4つのニーズです。しかし、4つのニーズの優先順位は、お客さまによって異なります。そこで、営業担当者はお客さまの最優先ニーズを考え、そのニーズからお客さまの課題を想定して、つまり仮説を立て、それをお客さまとの面談時にぶつけてみることが重要です。このぶつける行為が「質問をする」になります。

営業の立場でありながら、ときには売ることを忘れて、自分がお客さまの立場であったら本当は何をしたいかを、考え続けることが必要です。お客さまの立場で考えてみるといろいろなニーズが浮かび上がってきます。それを楽しむことができれば、営業活動はもっとすばらしいものに変わることでしょう。

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