企業ができるメンタルヘルス対策を考える
急増する「うつ病」に求められる支援
日本のうつ病患者は急速に増加しています。厚生労働省の調査によると、1996年に43万人だったうつ病・躁うつ病の総患者数が、2008年には100万人を超え、日本人の約10人に1人がうつ病・うつ状態にあるそうです。
さらに、近年「現代型うつ病」「新型うつ病」「ディスチミア親和型うつ病」などと呼ばれるニュータイプのうつ病が現れ、うつ病の「増加」だけでなく、「多様化」も問題視されています。こうしたニュータイプのうつ病と、従来のうつ病の、違いは何でしょうか。
「従来型うつ病」の特徴
- 几帳面でまじめな人に多い
- 自責的
- 全般的な意欲の低下
- いくらよいことがあっても気分が晴れない
- 自殺に至るケースが多い
「ニュータイプのうつ病」の特徴
- 若い世代に多い
- 他罰的
- 部分的・選択的な意欲の低下
(例:仕事以外の自分の好きなことに対しては意欲的) - パーソナリティの未成熟
(参考文献:冨高辰一郎, 『なぜうつ病の人が増えたのか』, 幻冬舎ルネッサンス, 2009)
ニュータイプのうつ病が出現した背景には、ゆとり教育の導入や、児童期の集団行動の減少などが指摘されていますが、まだ不明確な部分が多く、即効性のある治療法も見つかっていません。
こういった状況で、企業はどのようなメンタルヘルス対策をとったら良いのでしょうか。やはり、「育成」という視点からアプローチすることが、これまで以上に重要になってくるのではないかと考えます。社会的に成熟することができるように、円滑な対人関係を築く方法や、ソーシャルスキルを教授したり、社会的規範を身につけさせるなど、広い意味での「成長」を支援する姿勢が重要です。