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「ストレスチェック」実施は機能するか?

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職場のストレス原因ランキングを踏まえて考えてみる

「ストレスチェック」は、快適な職場環境づくりに本当に寄与するのでしょうか?

今年の6月に成立した「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」を見てみると、①精神障害の労災認定件数が、3年連続で過去最高を更新している(平成21年度:234 → 22年度:308 → 23年度:325 → 24年度:475)ことや、②小規模事業場での取り組みが遅れていることなどを理由に、『労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師又は保健師による検査(ストレスチェック)』の実施を事業者に義務づけるよう、あらためて、厚生労働省が働きかけていることが伺えます。(対象は従業員50人以上の事業所であり、50人未満の事業所については、現状「努力義務」となっています)
 
ストレスチェックが義務化された場合、ストレス状態にある従業員にとっては、自らの状態を客観視する機会が生まれ、その状態に応じて専門家や組織による支援を受けられますので、より健康的に仕事を続ける可能性が高まることが期待されます。

一方で、新たな取り組みには、必ず何らかのデメリットやリスクが存在しますが、今回のケースでは「そのストレスの原因が探求されることによる、職場や周囲への影響」という点が、1つの懸念事項として考えられるのではと感じています。
 
参考までに、厚生労働省の平成19年度発表資料を見てみると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの原因」の調査の中で、最も原因としての回答数が多かった項目は「職場の人間関係の問題」で38.4%(男性30.4%、女性50.5%)、次に「仕事の質の問題」で34.8%(男性36.3%、女性32.5%)、その次は「仕事の量の問題」で30.6%(男性30.3%、女性31.1%)となっており、その後に、「会社の将来性」、「仕事への適性」、「昇進・昇給」、「定年後の仕事・老後」、「雇用の安定性」、「配置転換」、「事故や災害の経験」と続いていきます。
 
この傾向を踏まえて、想像を膨らませてみます。もし、ストレスチェックによって、ストレス状態の従業員が見つかると、該当者のストレス要因を、ヒアリングや調査をしていくことにつながっていくでしょう。そのときに、もし、仕事・職業生活のストレス要因ランキングのように、「上司がひどくてつらい」、「あの同僚と合わないので仕事が大変」、「部下が使えなくて困っている」、…こんな心の声が多く明るみに出でくるとすれば、これらが該当者の働く職場にも、何らかの形でフィードバックされることになるかもしれません。

配置転換ができる事業所は、まだ違った対策が取れるかもしれませんが、小規模な事業所では、現場の中で状況改善を試みるケースが多くなると思われます。調査結果やヒアリング結果を上手に扱わないと、これからも同じメンバーで働き続けなければならないのに、職場の雰囲気が、余計によそよそしくなったり、すでに気を遣っていた職場の人間関係に対して、さらに配慮することになったりするなど、逆効果が表れる可能性も否定できないでしょう。

検査を踏まえた健全な労働環境の整備や管理は、状況を改善するうえでの良いアイデアだとは思いますが、逆に、その副作用によって、さらに職場の雰囲気が悪化する恐れもあるかと私は感じています。ストレスチェックを行うと同時に、職場の環境整備、上司の部下支援に関する意識や、能力の向上、そして何より、本人の自己管理能力やストレス対処能力の向上へも取り組んでいけるか? 現状を改善していく鍵は、むしろそちらの施策にあるのではないでしょうか。

田所 祐輝

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