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人材教育の世界的課題と傾向

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2011年「TOYFNET」に参加しました

毎年恒例の会議「TOYFNET」に出席するため、海外に出張してきました。TOYFNETには、教育研修プログラム「考えをまとめるスキル・説得するスキル(Think on Your Feet®)」を扱う会社のメンバーが、世界各国から集まります。今回の参加者は、世界11カ国から34名でした。

会議では、各国の近況や傾向、課題に関する情報共有や議論を行いましたが、印象的だった議題を3つお伝えします。

1. 学生や子どもへの教育

当社では、基本的に企業で働く人を対象に研修を行っています。しかし、海外では、「GEN Y(じぇん わい)」と呼ばれる1985年以降に生まれた主に学生を対象に、コンサルティング会社が研修を行っているケースが結構あるようです。

日本の学校では、国語・数学・英語・理科・社会といった受験科目を中心的に、カリキュラムが組まれていますが、海外ではコミュニケーション能力や、対人理解力を向上させるための教育機会も、カリキュラムとして取り入れているのでしょうか。

先日、NHK教育テレビで放送していた番組でも、「シックス・シンキング・ハット(Six Thinking Hats®)」を活用した、アメリカの大学の事例がありました。そこでは、コンサルティング会社ではありませんでしたが、大学の先生がファシリテートを行い、チームワークやコミュニケーションに関する学びを促していました。

2. ソーシャルメディアの活用

FacebookやTwitterといったソーシャルメディアを活用した、効果的な研修についての話し合いもありました。前述の内容とも関連しますが、「GEN Y」はソーシャルメディアを含むネット社会で育ってきていますので、それ以前に生まれた世代とは、異なる考え方や志向を持っていると、強く感じているようです。この点は、最近の日本と事情が似ているように感じました。そういった「GEN Y」の考え方や志向にフィットする研修機会とは、どのようなものかを議論しました。

明確な結論や有効な回答、アイデアはそう多くは出ませんでしたが、この点は日本も似たような状況ですので、私たちの会社でも同じ議論をしてみる価値はありそうです。

3. 顧客経験価値の最大化

最後は、「顧客経験価値」です。多くの参加者がこの言葉を使っていましたが、私たちには「顧客満足」といったほうがなじみやすいですね。

前述したように、世代に合わせた対応だけでなく、お客さまの業界や受講者の知的レベル、研修期間(半日か、1日間か、2日間か?)などといった、お客さまの提示するさまざまな条件や状況への対応力や適応力が、ますます重要になっているということでした。

この点は、私たちからすると、今に始まったことではありませんし、業界や仕事内容に依らず、どこでも当たり前に重要なことなのでは…と思いながら議論を聴いていました。

ただし、ラーニング・マスターズは「Programed instruction」という考え方を持っています。つまり、受講者の学びにつながるように設計されたプログラム設計や、インストラクションを行っています。その考え方を崩して、何でもお客さまの要望に応えることが、果たして両者満足の関係づくりとなるのか、見極めが大切だと考えています。

個人と組織を客観視するには

最後に、私見を述べたいと思います。自分の持っている(認知している)意識や経験の枠の中だけで発想し、行動している状態だと、自分は何ができて、何ができないのか、不足している点は何かなど、自分を客観視できないのではないかと感じました。今回の会議のように、国も異なり、会社も異なり、年代も、性別も、経歴も、さまざまな点が異なる人たちと交流し、議論をすることで、自分の枠から外れた思考や発想に触れ、そして初めて、自分を客観視できるのではないかと思います。

個人だけでなく、自分の所属する会社を客観視することも重要ではないでしょうか。

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