さまざまに変化する日本語の表現
使い慣れた日本語の「間違い」
先日、文化庁による「国語に関する世論調査」の結果が発表されました。(参考:平成23年度「国語に関する世論調査」 - 国語に関する世論調査|文化庁ウェブサイト)
76.5%の人が、「にやける」(本来の意味:なよなよとしている)の意味を取り違えていたと、ニュースで取り上げられていました。ほかの言葉も、私も取り違えていたこともあり、私たちが無意識で使っている日本語の間違いについて考えてみました。
例えば、以下の表現は、すべて重複表現です。
「すべて一任する」「過半数を超える」「まず初めに」「酒の肴」「排気ガス」
また、慣用表現でも、知らず知らずの間に誤っていることがあります。
× 乗るか反るか → ○ 伸るか反るか
× 足元をすくう → ○ 足をすくう
気遣いを言葉で示す
幕末期から明治にかけて、外国から思想や文化が大量に流入する中で、日本語には西洋の概念に当てはまる言葉が存在しないために造語が量産され、日本語に変化をもたらしたといわれています。日本語の「乱れ」が問題として取り上げられますが、日本語には「はやり言葉」による影響が出やすい言語としての一面もあるようです。
「僕」という言葉はもともと下僕を意味していましたが、長州藩の志士たちが、目上の人に対する際の一人称として愛用し、それが一般化したようです。一説には、「僕」の使い方を広めたのは高杉晋作ともいわれます。
時とともに意味や用法が変わり、語源から大きく変化をしている言葉もある日本語ですが、正しく美しい日本語を使用することが求められる場面があります。あるホテルで新入社員に教えられる「言葉遣いの基本」は、以下のようなものだそうです。
- 基本1:体言止めで話を終わらせない
「です、ます」で丁寧に話す。 - 基本2:「が」止めで話を終わらせない
「~でございますが」と、文が途切れたまま終えることは失礼。 - 基本3:安易にカタカナの言葉を使わない
「フルネームをお願いします」はお客様に不快な印象を与える恐れがあるため、使用不可。 - 基本4:熟語はあまり使わず、平易な話し言葉を使う
「離席」など、硬い印象の熟語は避け、「席を外しております」と話し言葉を使用。 - 基本5:相手の使った言葉は別の言葉に置き換えない
相手が「リザベーション」と言った場合は、「予約」と置き換えない。
「ふさわしさ」として相手の期待に応えるためにも、言葉の気遣いが重要となります。