クラウドが企業経営にもたらすもの
営業の世界で発生しやすい「人」と「システム」の問題
近年、「クラウドコンピューティング」(以下、クラウド)が注目されています。クラウドは、システムの開発コストと時間を大幅に削減する可能性を秘めています。情報入力も、時と場所を選ばず可能になりますし、情報入力画面は自分が使いやすいように、簡単に変えることができるようになるはずです。
私は近い将来、このクラウドが営業の成果に大きな影響力を持つと考えています。今日はその理由について、書いてみようと思います。
まず、企業経営の視点は、「戦略」「システム」「人」の3つの要素に分けることができます。この3要素は、トライアングルのように、しっかりと結びついている必要があります。
戦略 | 全社目標を達成するための営業戦略 |
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システム | 戦略を実現するためのしくみ全般。SFAやCRMのシステムなど |
人 | 戦略を実行するために、実際の営業活動を行う人 |
しかし、現実はそううまくいきません。特に、営業の世界では、「人」と「システム」との連携に問題が発生しやすい傾向があります。
ある企業が新たに業務システムを導入したとします。使うメリットを感じないため、多くの営業担当者は、面倒なシステムは使わずに業務を行います。そうすると、システムの企画側である経営陣は、トップダウンでシステムの利用を強制します。現場は仕方なくシステムを使いますが、本来の目的が理解されていないので、結局また利用が途絶えたり、続いていても不完全なデータになったりします。
人を成長させるシステム
このように「人」と「システム」の関係がうまくいかない理由は、システムを設計する際に、経営視点で進める傾向が強いからです。企画側で欲しい情報を得るために、何を入力してもらうかを設計するなど、一方的な視点だけで進めている場合が多く、現場としては手間が増えるだけといった状況が生まれます。
これから、コンピューターに囲まれて育ってきた世代が、ビジネスの中心となります。彼らは自分の成長に役立たないことや、目的がはっきりしないことには手を出さない傾向があり、自分にどのようなメリットをもたらすのかが分からないと、システムを活用しようとしません。
企画側が満足する従来のシステムから、人を成長させるシステムに変えることができれば、現場の担当者も自分のために自発的にシステムを使うようになり、結果的に戦略実現に結び付いていくでしょう。柔軟性を持つクラウドと営業の成果は、密接なつながりを持つことになります。
大事なことは、「会社のためにシステムを使う」ではなく、「自分のためにシステムを使う」にすることです。そのためには、システムの目的をしっかりと理解し、自分の成長に役立つことが実感できるようになる必要があります。
柔軟性を持たせすぎると、システムとして機能しなくなる可能性があります。その辺のバランスを考えていくことも大切です。