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混沌から抜け出すための明確化と問いかけ

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生産性・創造性を高める「自由」と「混沌」 第1回

「自由」と「混沌」

「自由」という言葉があります。広辞苑によれば、以下の意味です。

自由――

①心のままであること。思う通り。自在。

②一般的には、責任をもって何かをすることに障害(束縛・強制)がないこと。自由は一定の前提条件の上で成立しているから、無条件的な絶対の自由は人間にはない。

広辞苑 第五版 岩波書店

広辞苑は、語源に近いものから列記されます。2番目で、早くも「無条件的な絶対の自由は人間にはない」と断言しています。もし、前提条件のない「無条件的な絶対の自由」の状態を表すならば、「混沌」という言葉がしっくりくるように感じます。

混沌――

①天地開闢の初め、天地のまだ分かれなかった状態

②物事の区別・なりゆきのはっきりしない様

広辞苑 第五版 岩波書店

日常に発生する「混沌」

辞書を見ると、非日常的で、私たちの生活からは縁遠いようにも感じますが、実は、「混沌」と呼べる状況は、ビジネスのあらゆる場面で発生してないでしょうか。例えば、以下のような状況が「混沌」と表現できます。

  • 日常の会議や、話し合いの収拾がつかない
  • 新しい仕事をどんどん振られて、整理がつかない
  • 上司と部下、または社内と取引先など、指示と要求の板挟みになる

こうした「混沌」は不安感を高め、自分自身の緊張感や、組織内に不要な緊張感の高まりを生みます。これがもとで、生産性や創造性を阻害する要因となっているというケースが多いように思います。

混沌を抜け出す鍵

この「混沌」を解決するにはどうすればいいでしょうか。ここでまた、広辞苑の意味に戻ります。混沌とは、「物事の区別・なりゆきのはっきりしない様」です。抜け出すためには逆のことをする、すなわち物事を区別し、そのなりゆき(=ゴール)をはっきりさせます。

これは、当社の教育研修プログラム「GTD® Getting Things Done® ストレスフリーの仕事術」でも、重要なポイントです。GTDでは、自分が抱える「もの」「こと」をはっきり認識し、区別して、そのうえで、それぞれの「もの」「こと」が一体どんな「なりゆき」につながっているのかを、明確化します。

現状が「混沌」だと感じる場合は、試しに白い紙とペンに書き出して、出てきた「もの」「こと」に対して「それは何か?」と問いかけるところからスタートしてください。

そして、ビジネスを進めるには、混沌を抜け出すだけでは不十分です。次のステップとして、意識的に自分の思考の枠や常識などから外れた、「自由」なアイデアや発想を求められます。次回は少し話を進めて、「自由に考える」をテーマにしようと思います。

林 健太郎

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