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生産的で前向きな行動のために管理者がすべきこと

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変化に動揺する組織で良い影響を与える

管理者に求められる2つの行動

新型コロナウイルス感染症の影響で、世界中が大きな変化のまっただ中にあります。感染症そのものだけではなく、経済的な影響も大きなものになるでしょう。このような変化は、私たちを動揺させます。人は動揺したとき、生産的で前向きな行動はせず、さまざまなことに懐疑的になり、後ろ向きな行動に走りがちです。

日常生活だけではなく、会社組織の中でも同様です。変化に見舞われ動揺した人は、本来の役割や、今やるべきことを冷静に考えられなくなります。そんなとき組織の管理者に求められるのは、2つの行動です。

1. 自分が冷静になる

自分が動揺していては、組織のメンバーを落ち着かせることなどできません。どんなことが起こっても冷静さを保つ、またはすぐに取り戻す必要があります。

旅客機の客室乗務員は、フィジカルとメンタルの両方が求められる仕事です。実際に航空会社に勤務していた方から聞いた話ですが、メンタルでは常に緊急事態を想定しておく必要があり、事故を想定した訓練なども毎年行うそうです。

航空機は、一度飛び立てば、何が起きてもそこにあるもので何とかしなければなりません。例えば、故障などでエンジンが1つしか動かない場合には、それで飛ぶしかないわけです。厳しい環境で、いかに目の前の現実を受け入れて冷静に対応できるかが重要になります。

その航空会社に勤務していた方に聞いた危機管理において大切なことは、「乗務員自身が、『自分がやる!』という気持ちを持つこと」だそうです。

2. 部下の動揺を「リセット」

変化への動揺は、マイナスの感情を抱えた状態です。生産的で前向きな行動のために必要なのは、まずその感情を「リセット」し、フラットな状態へ移行させることです。そこでようやく、現実を受け入れる段階へと進めます。

マイナス感情は、そのまま放っておいて癒えることはなかなかなく、それどころか増幅していく可能性もあるやっかいなものです。当社が提供する研修「変化を乗り切るためのマネジメント」の受講者からは、「親会社から出向してきた年配の部下が指示を聞かない」「若手の優秀な社員が自分の希望とは全く違うプロジェクトにアサインされて意欲を落としている」といった例をよく聞きます。このような「変化」への動揺と後ろ向きな行動に対して、管理者に必要な行動は、部下の感情の揺らぎが収まるまで付き合うことです。管理者は、「変化」に動揺する部下やメンバーのマイナス感情を受けとめ、理解しようと寄り添うことが求められます。

変化を恐れたり避けたりしていては、人に良い影響を与えることはできません。昨今の「先が見えない」変化に対して、皆さんはこういった対応ができているでしょうか。

奥野 幸治

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