問題解決の質を高める思考のコツ 第2回
逃れられない思考の癖
問題や課題を解決する際の「考える」という行為は、〈何を考えるか〉と〈どのように考えるか〉に分けることができます。前回は、〈何を考えるか〉について、「なぜ」から考えることをお伝えしました。今回は、〈どのように考えるか〉を思考の癖と思考ツールの観点でお伝えします。
人の考え方には傾向があり、楽観的、否定的、直感的などそれぞれ思考の癖があります。「もうちょっとポジティブに考えて」「チャレンジは分かるが、背景や経緯も踏まえながら、リスクも考慮してほしい」といった指摘を受けたことがある人もいるかと思いますが、こういった癖は、意識しても改めるのは難しいものです。
思考の枠組みとして確立されたフレームワークを使用するのは、思考の癖から逃れる手段の1つです。例えば、マーケティングにおけるフレームワークとして、3CやSWOT分析があります。これらを用いて市場分析を行い、どのように市場を攻めるべきか、状況把握をしっかり行えば、直感的に考える人でも、多角的に幅広い分析ができるようになるはずです。
しかし、「SWOT分析で自社の強みを考えても、どれも弱みに見えてくる」といったように、フレームワークを使用しても、思考の癖から逃れられない人が多くいるのが現実ではないでしょうか。
思考の質を高める思考ツール
フレームワークを効果的に使うためには、焦点を絞る思考ツールが役立ちます。人は、焦点を絞って考えると、思ってもないほどすらすらとアイデアや考えが浮かんでくるようになります。あれもこれもとならずに考えるべきことだけに集中して、思考の質を高めることができます。
思考ツールといっても、特別な物を用意する必要はありません。例えば、自社の強みを考えるときに、ボールを1つ使います。ボールを持ったときには、自社の強みだけを考えましょう。簡単な仕組みですが、使いこなすには練習が必要です。慣れるまでは、強み以外の発言をしたら他の人に警告してもらうといいでしょう。
ボールの種類や色を変えて、ゴルフボールを持ったときは弱みやネガティブなこと、テニスボールを持ったときは実現可能かどうかを度外視してとにかくアイデアだけを考えるなど、ツールの活用で、効率的に考えることもできるようになります。
「シックス・シンキング・ハット」や「ラテラルシンキング」といった思考法として確立されたツールを使うこともできます。以下は、良い考えを導き出す3つのポイントです。
良い考えを導き出す3つのポイント
1. Habits:考え方の習慣 |
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2. Structure:構造 |
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3. Tools:道具 |
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次回のコラムでは、前提となる「状況の把握」についてお伝えします。
- 第1回 「よく考える」とは - 問題解決の質を高める思考のコツ
- 第2回 思考ツールを活用して問題解決の質を高める
- 第3回 問題解決の質に大きく影響を与える「状況の把握」