変化が起きたときに必要な情報収集
変化の時代と言われて久しいですが、変化を避けて通ることはできません。人は変化に遭遇すると、2つの疑問を持つと言われています。
- 何が起こったのか
- どうしたらよいのか
この2つは切り離せないはずですが、私たちは、第1の疑問をいいかげんにしたまま、第2の疑問に跳びついてしまう傾向があります。なぜならば、ビジネスの現場では特に、迅速な行動が期待されているからです。銃を撃つときに、「構え銃、撃て、それから狙え」と言われているようなものです。
変化が起きたときにやるべきことは、組織や個人に「何が起こったのか」を正確に把握すること、つまり、正確な情報を収集することが、最も重要です。
一長一短ある3つの手段
普段、私たちが行っている情報収集には、次の3通りがあります。それぞれ一長一短があるので、組み合わせながら、正確な情報把握に努めなくてはなりません。
1. さまざまな角度から資料やデータを集める
注意すべき点は、データが古くなりすぎていないか、あるいは、改ざんとまではいかなくても、意図的にデータを隠したりはしていないかを確認することです。データの信憑性については、データの発信元、および発信元の思想的背景や立場を理解しておくことが必須です。
2. 人から聞く
人の話は、その人の個人的な考えを踏まえての話になるので、事実と感情を整理して聞く必要があります。
3. 五感を使って観察する
自分の五感に反映されることがすべてである点に、注意します。観察する時間や場所など、個人の体験範囲には限界があるので、情報が断片的であることを知っておく必要があります。
ミクロの視点とマクロの視点で
最近の例で、「福島の原子力発電所で起きていることの情報収集」を考えてみましょう。
本来は、私たちの目に見える形で情報を公開することが、政府と東京電力の義務ですが、事故を過小評価して、できるだけ小さく見せようとしている現状では無理でしょう。私たちにできることとしては、インターネット中継を活用して、テレビなどで報道されない部分を見る、専門家の解説を聞く、自分で放射線測定器を購入して測定する、現地に行って直接話を聞くなどがあります。自力で情報ルートを開拓し、総合的に判断することが求められているのです。
福島というミクロの視点で情報を整理することも重要ですが、今後の動向を判断するには、マクロの視点も忘れてはなりません。現在の状況を生み出した根本的な背景には、「原子力ルネサンス」と言われる原子力開発の見直しがあったからです。