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情報セキュリティマネジメントと仕事の質

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ITの発達で縮まる距離と身近な危機

企業の情報セキュリティの課題

新聞報道に、次のような記事がありました。羽田空港に勤務する50代の主任航空管制官が、米国大統領専用機のフライトプランなどをインターネット上に流出させたということです。この管制官は、管制内部の情報を見てもらう目的で自分のブログを立ち上げ、定期的に情報を流していたということです。また、7月には、東京交通管制部の管制官がSNSを使い、施設内見学ツアーを勝手に呼びかけた問題も発生しています。

この記事を目にしたとき、大の大人が何をしているのかといった気持ちになりました。この人たちは、自分の職場が特殊で、紹介すれば一般の人が興味を持つであろうと思って、軽い気持ちでやったのでしょう。以前から、身内に対して写真を見せたり、社外秘にあたる情報をもらしたりして、得意になっていたことは容易に想像がつきます。仲間内では「おもしろいね」で済んでいても、ITの発達により、見せる範囲が身内から外へ広がり、「おもしろいね」では済まなくなりました。

進歩する時代に合わせた情報セキュリティマネジメント

社会人になりたてのころ、電車の中や飲み屋では仕事の話をするなと、よく言われました。「壁に耳あり、障子に目あり」で、どこの誰が聞いているか、見ているか分からないので、情報漏洩に気をつけろということです。今回は、堂々と仕事中に写真を撮り、それを広範囲にばらまいたり、SNSで勝手に仕事場見学のツアーを呼びかけるなど、常軌を逸しているとしか言いようがありません。

ITの発達が、人々の生活を便利にさせたことは間違いないでしょう。ビジネスにおいても、手紙から電話、テレックスからファックス、さらに電子メールへと、技術の進歩によって、コミュニケーションのスピード化と多様化が進んできました。しかし、ITの発達に比べて、発信する側の"人"は進歩しているのでしょうか。

かつては、社内や社外への発信は、発信権者が決められて(通常は課長職)おり、担当者は常に、上司決裁のもと発信を行っていました。文書の書き方が下手だと赤字の添削が入り、その経験を通して、文書の書き方を学びました。今は、発信権者は決められているものの、電子メールの発達などにより、個人が容易に、広範囲に情報発信できる環境になりました。会社によっては、さまざまな制約を課しているところもありますが、多くは個人の裁量に任されているでしょう。以前よりずっと、個人の責任の重要性が高まったと言えます。

何とかとハサミは使いようと言われますが、ITにも同じ事が言えるでしょう。IT業界を中心として、より便利さを求めて、さまざまなツールが今後も開発されるでしょう。しかし、ITはあくまでコミュニケーションの手段であり、伝えるべき内容が大事であることを忘れてはなりません。

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