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オンライン研修に求められる大きな視点

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オンライン企業研修の課題を考える 第2回

「オンライン企業研修の課題を考える」と題して、当社が約1年間オンライン研修を実施した試行錯誤とノウハウを紹介するシリーズの第2回です。引き続き、当社講師陣から寄せられた情報を、できるだけそのままお伝えしていきます。ぜひ今後の皆さまの人材育成にお役立てください。


シリーズ「オンライン企業研修の課題を考える」

  1. オンライン研修を実施して感じる課題
  2. グループワークをするうえで注意する点
  3. 今後に向けての注意点、または期待すること

前回のコラムでは、「オンライン研修を実施して感じる課題」から、講師・運営側として、対受講者、受講者の環境についての情報をお伝えしました。今回は、後半部分、講師・運営側の「運営、その他」編となります。多岐にわたる内容となっています。

1. オンライン研修を実施して感じる課題

(「講師・運営側」として)

運営、その他

当社講師陣から寄せられた情報

  • オンライン研修の休憩は、集合型より回数を多く、また長めに取るべき。オンライン実施では、1分前には戻ってスタンバイすることが多く、休憩が5分の場合に実質3分程度になる。1時間に1回、最低10分は必要。
  • ブレイクアウトルームの操作や、受講者の機器トラブルなどもあり、講師1人ですべてに対応するのは難しい。また、研修中に事務局からチャットを介して入る指示に、研修の進行と同時に対応することもある。コスト面の課題はあるが、サポート役が別にいることが望ましい。
  • 受講者の使用する機器がタブレット、スマートフォン、PCとばらばらだったり、1人の受講者がPCとスマートフォン両方で受講するなど、機器に合わせた対応が必要。
  • 研修教材について、事務局からはPDFファイル形式での配付を希望されることが多いが、研修効果からは、受講者各自の手元に紙の教材があることが望ましい。講師の映像やスライドに加えてPDFも同時に表示できる環境が整っている受講者は少なく、ほとんどの場合で無理が生じる。
  • オンライン研修に慣れていない企業は、「1日研修をやるなんて絶対に無理」という固定観念があり、デモやトライアルで事務局のパラダイムを変える必要がある。
  • これまで以上に、スライドやテキスト教材の向上が求められる。また、集合型研修で使用していたゲームをそのまま実施できないので、代案やアレンジが必要。
  • 研修の形で運営できているつもりだが、「本当にこれでいいのか?」「もっと改善ができるかもしれないが、答えが分からない」と感じる部分がある。

受講者の環境によっては、ネットワーク負荷が大きいツールでの負担軽減のために、1人の参加者が2つ以上の端末を使い、映像と音声を分けて参加するケースもあります。より良い受講環境のためですが、講師にとっては、対応が増えることにもなるようです。

現在のオンライン研修では、既存のテキストをPDF化したデータを使用するか、紙のテキストを事前に郵送するケースがほとんどです。前述のとおり、PDF教材では、大半の受講者は研修を受講しながら画面でテキストを確認するのが難しいこと、また書き込みができないのも難点で、受講者から改善点として挙がることもあるようです。海外でオンライン化された研修には、テキストへの書き込みや、演習時の回答など、オンライン実施を前提に開発された教材を目にすることも出てきました。今後の改善が求められる部分です。

これも海外の例ですが、研修を2時間続けて実施し、休憩を1時間取るものもあります。オンライン研修は、それだけ集中力が必要だと考えることもできます。このように、時間管理の考え方や研修の品質といった観点でも、既存の研修をただオンラインで実施するだけではなく、大きな視点での見直しが必要です。今回課題として挙げた中にも「パラダイム」という言葉が出てきますが、大きな転換が求められていると言えるでしょう。

次回は「オンライン研修を実施して感じる課題」から受講者側としての情報をお伝えします。

近藤 克明

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