「梅収穫ワーケーション」で生き方改革
「ワーケーション」とは、「ワーク[Work]=仕事」と「バケーション[Vacation]=休暇」を組み合わせた造語で、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこととされています。(参考:観光庁ウェブサイト) 今回のコラムでは、自分の時間の使い方がユニークで非常におもしろいと個人的に感じている「梅収穫ワーケーション」を紹介します。
「梅収穫ワーケーション」とは
「梅収穫ワーケーション」は、一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会によって、和歌山県のみなべ町で2022年6月に初めて実施されました。梅の最高級品種とされる「南高梅」の農家で、ワーケーションをしながら収穫のお手伝いをする試みです。
この「梅収穫ワーケーション」は、作業に没入する体験を通じてウェルビーイングを高め、セルフリーダーシップを強化する“真のワーケーション”※1体験を目的にしています。
※1 参考:一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会の記事より
『自然に溢れる地域で空になる[vacate]体験を通じてウェルビーイングを高め、セルフリーダーシップを強化できることを“真のワーケーション”と定義』
昨年の参加者はのべ240名、2023年は5~7月と期間を延長して、382名の参加がありました。首都圏のビジネスマンを中心に、全国から集まる参加者は、朝から夕方まで、午前中のみ、午後のみなど、自分の本業と各農家のスケジュールに合わせて収穫に参加します。
最盛期の梅収穫は、朝5時から畑に出て、夕方7時まで収穫を行い、その後も収穫した梅の洗浄や選果作業があります。収穫作業は、木から青梅をもぎ取る、熟して落ちた完熟梅を拾うなど、時期によって作業は違いますが、どれも肉体的にとてもハードです。ゴルフボール大の梅が約20kg入るコンテナ300個ほどを、1日で収穫します。
働き方を見つめる「生き方改革」
私はこのプロジェクトの運営メンバーとして、3日間、収穫に参加しました。なんといっても、プロの皆さんのスマートな身のこなしに驚きます。70歳を超えた女性の方でも、20kgのコンテナをひょいひょいと運び、軽トラに飛び乗り飛び降り、中腰で梅を拾う作業も何時間も涼しい顔でこなしていきます。
収穫の後には、参加者や運営メンバー、農家の方などと集まり、その日の体験や感想を持ち合います。梅収穫を通し、普段の自分の仕事や、その働き方についてなどを客観視する機会になることが多いようです。
参加者の感想
- 普段の仕事では「黙って手早く作業をする、おしゃべりは禁物」という意識で働いていたが、梅収穫を普段とは違うメンバーと行って 、楽しく作業をすることで作業のスピードを上げる、疲れを感じないといった効果に気づいた。自分の思っているやり方がすべてではないと感じた。
- ゲームのようにチーム対抗形式で収穫をしたら、勝ったのはお互いの「強み」を分かっているチームだった。声を掛け合ってリズムを作るなど、普段のチームビルディングに活かしたい。
- 午前中にハードな梅収穫をして、午後の会議に参加したところ、肉体は疲れていたが自分が頑張ったことを知っているので、充実感を感じた。無駄な思考がそぎ落とされ、会議に集中できた。
働き方改革は「生き方改革」であると言われますが、働き方を見つめ、また自分自身を見つめるワーケーションでの余暇は、働く皆さんだけではなく、一緒に参加するお子さんなど、ご家族とさまざまな体験ができる機会にもなります。
梅収穫ワーケーションは、2024年も開催が予定されています。畑作業をしながら、内省し、多くの仲間と対話し、自分の大切なものを発見できる機会です。農業という大事な産業、食べるものが生まれてくる場所とつながる時間もおすすめです。詳細は、以下のリンクから公式サイトをご確認ください。
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