To-Doリスト~GTD®の視点からのヒント~ 第3回
前回は、具体的な「行動」に落とし込んだTo-Doリストの重要性をお伝えしました。今回は、それに付け加えて、物理的で具体的な行動を明確にしたTo-Doリストでも、ものごとがうまく進まない場合の、理由と対策です。
具体的な行動でも進まない?
前回の例に、「部長の資料」がありました。これを、「行動」に落とし込み、「資料の基になるデータの作成」と、具体的に書き直したとします。しかし、それでもなかなか作業を進められない――ということはないでしょうか。リストに書いた時には、具体的ですぐに行動できそうだと感じたのに。これはなぜでしょうか。
その理由は、「山が高いと感じる」です。雪で覆われたアルプスの壁面を前に、「あの頂上に行こう」と言っても、登山経験がない人では、足がすくんで前に進めないものです。
「すぐにできる具体的な行動」として、「資料の基になるデータの作成」と書いたはずが、いざ取りかかろうとすると、資料作成の一連の手順、関係者とのやりとり(その中に苦手な人がいる場合は特に)、部長から承認をもらう煩雑さなどが、頭に思い浮かびます。
つまり、「頂上に行く」ための具体的な行動のように思えても、実際に麓に立つと、想像以上に山が高く感じられて、なかなか一歩を踏み出せなくなるわけです。特に、「頭が良い人」ほど、頭の中で先回りして考え、動けなくなるようです。
行動をさらに小さく
こうした状況を変えて行くには、必要以上に頂上を意識せずに、今の一歩に集中できるようにすることです。
例で言えば、「資料の基になるデータの作成」を、さらに簡単な小さい一歩にブレイクダウンして、「上期データの入力」などにしてみると良いでしょう。もっと言えば、「上期データの入力のための新規ファイルに名前をつけて保存する」でも良いかもしれません。
このように小さな一歩を踏み出してみると、その次、その次と、気がつけば歩みが前に進んでいることになります。
物理的で具体的な行動を明確にしたTo-Doリストでも、なかなか進まないときには、さらに小さな具体的な行動に書き換えてみてください。
- 第1回 To-Doリストを確実に機能させるための3つのポイント
- 第2回 意識していることを行動に落とし込んだTo-Doリスト
- 第3回 To-Doリストをさらに小さな行動に書き換える
- 第4回 To-Doリストが機能すれば目の前のことに集中できる