夢の実現は現実を見ることから始めよう 第3回
今回は、前回までに見てきた「現実」をどうすればよいかについて書いてみます。前回に引き続き、「2週間のバカンスに南の島に行く」ことを「夢の実現」の例として考えます。
まずは、「Inbox」に「2週間のバカンスに南の島に行く」と書いたメモが入っているとします。「Inbox」には、ほかにも、仕事やプライベートのことなども入っているはずです。夢の実現も含めていろいろな「現実」が「Inbox」に集まった状態です。
To-Doリストに書き出して「Inbox」の現実をより具体的に
それでは、「Inbox」を整理しましょう。「Inbox」の中身を1つずつ確認し、具体的に何をしたらよいかを、To-doリストに書き出していきます。
「2週間のバカンス…」のメモからやるべきことを考えて、リストの項目にすると、「バカンスの準備」と書いたり、詳細な項目として「スケジュールの決定」などと書いたりすることが多いと思います。しかし、このままのリストではものごとが前に進まないということを、以前に書きました。「具体的な行動に落とし込まれていないと、ものごとはなかなか前に進まない」のです。
「スケジュールの決定」と書いておいても、それを「どのようにやるか」が書かれていないと、例えば、使える時間が30分できたとして、すぐに作業に取りかかるのは、なかなか難しいものです。この場合、理想的なTo-Doリストの書き方は、「(想定される時期の)スケジュール帳を見る」というのが一例です。もしかすると、その前にまずは、「想定している時期について奥さんに話す」が適切かもしれません。
To-Doリストのよくある書き方
- スケジュールの決定
- バカンスの準備
To-Doリストの理想的な書き方(具体的な行動に落とし込む)
- (想定される時期の)スケジュール帳を見る
または
- 想定している時期について奥さんに話す
「これならできる」と思える行動
大事な点は、リストに書き出したことが、「これならできる」と自分自身が思う行動になっているかということです。
同じことは「Inbox」に入っている、ほかの事柄についても当てはまります。重要な事柄もそうでないことも、また、自分にとって気が重いこともそうでないことも、すべて同じように、「これならできる」と自分自身が思える、イメージできる行動に落とし込まれたリストにしておく必要があります。
特に、自分自身にとって「重い」と感じる事柄を、「これならできる」と感じられる行動に落とし込めていないと、頭のどこかで「そのリストを見たくない」と避けてしまうことがあります。「重い」ことほど、どうしてもやらなければならないことであるのなら、たとえ小さな行動であっても、本当に「できる」行動にしておく必要があります。
リストの項目が「重い」状態
- Aさんに仕事の案件を引き継ぐ
リストの項目が「これならできる」状態
- Aさんの業務スケジュールを見る
または
- Aさんに業務状況を聞くためのメールを書く
このようにして、あらゆることを、時間がある時にすぐに取りかかれる、「これならできる」という行動に落とし込んでリストにした場合、そのリストの項目はどれくらいの数になるでしょうか?
人によってさまざまだとは思いますが、多くの人が50個から100個くらいになるのではないでしょうか。これがまさに、今の「現実」なのです。これまで見てきた「Inbox」も現実ですが、「Inbox」はその入り口と言えます。
「これならできる」からスタートする
「Inbox」にあることをすべて、このような具体的な行動にしていくには、それなりに時間とエネルギーが必要ですが、1度やってみてください。夢の実現も含め、やると決めていたことが、いかに曖昧だったかを実感できると思います。そして、おそらく、多くの方がその「現実」を目の当たりにして、「こんなにできない、無理」とも思うでしょう。
実は、ここが本当のスタートです。やれないことをどうするか、ほかの人と調整する必要があるのなら、その調整をどのようにするかを、「これならできる」行動として決めておかなければ、何も前進しません。
「Inbox」に集められた「現実」をどうするかについて書いてきましたが、まさに現実を目の当たりにする内容になってしまいました。次回は「こんなにできない、無理」と感じてしまう「やらなければならないこと」を、取捨選択するための優先順位についても触れてみたいと思います。
- 第1回 「Inbox」のGTD®的活用で夢の実現に一歩を踏み出す
- 第2回 頭の中の「現実」もすべて把握する
- 第3回 「これならできる」と思える行動をリストにする
- 第4回 あなたにとって優先すべきことは?
- 第5回 ものごとを進める「お膳立て」
- 第6回 高い視点で遠くを見渡す