To-Doリスト~GTD®の視点からのヒント~ 第2回
前回のコラムで、To-Doリストを確実に機能させるためのポイントを紹介しました。今回は、そのポイントの1つである「物理的で具体的な行動を明確にする」ことについて、少し掘り下げます。
「To-Doリスト」と「気になることリスト」
皆さんは、To-Doリストをどのように作成していますか? 気になることを「あれをやらなきゃ、これもやらなきゃ」と考えながら書き出しているうちに、「やることがこんなにある…」と感じた経験がある方も、多いかもしれません。
例えば、次のようなTo-Doリストに見覚えはないでしょうか。
- 支払い処理
- 部長の資料
- 開発部門との調整
- 佐藤さん
- 評価面談
- 美容室
- 誕生日プレゼント
残念ながら、このTo-Doリストには、ものごとが実行されるという意味の「Do」ではなく、「意識している(気になる)こと」が書かれているに過ぎません。
行動する具体的なイメージを持てていない、つまり、「やるべきこと」としてのTo-「Do」リストを書いてるつもりでも、実際には、具体的なやるべきことが分かっていないケースが多くあります。そうすると、「やらなければ」と気にする負担感ばかりが増して、ものごとが前に進まないという、さらなるストレスを感じる悪循環におちいります。
意識はコントロールできない
ところで、会議中にふと、週末の旅行の予約について気になったりしたことはないでしょうか。仕事中だからといって、意識を仕事のことだけに向けるようにコントロールすることはできません。私たちがコントロールできるのは、「意識」ではなく「行動」です。
前述のTo-Doリストは、頭の中で意識していることを、意識しなくてもよい(忘れてもよい)ように、書き出しただけです。「意識」のためのリストと言えます。
To-Doリストで、具体的な行動が明確になっていないために、ものごとが前に進まない。――そのストレスを解消するためには、コントロールできない「意識」ではなく、コントロールできる「行動」に視点を向ける必要があります。
具体的な「行動」に落とし込む
冒頭のリストに書かれている「部長の資料」だけでは、具体的なやるべきことが明確にされていません。「部長から依頼されている資料」のことだけが意識に残り、負担感だけが存在し続けます。
しかし、「資料のための情報収集」や、「資料の基になるデータの作成」など、具体的なやるべきことが書いてあると、どうでしょうか。実行しようと思ったときに、リストを見れば、すぐに行動できます。
To-Doリストを「気になることリスト」にして、負担感やストレスを生まないよう、ぜひ、もう一歩踏み込んで、意識していることを行動に落とし込んでください。しかし、この「意識していることを行動に落とし込む」ということには、エネルギーが必要です。それについては、次回以降にご紹介します。
- 第1回 To-Doリストを確実に機能させるための3つのポイント
- 第2回 意識していることを行動に落とし込んだTo-Doリスト
- 第3回 To-Doリストをさらに小さな行動に書き換える
- 第4回 To-Doリストが機能すれば目の前のことに集中できる