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気をつけたい「自分の価値観」に基づくコーチング

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気をつけたい「コーチング」で陥りやすい罠 第1回

行動変化を求めていたマネジャー

知人の営業マネジャーが、コーチングを熱心に学んでいると教えてくれました。その理由を尋ねると、部下に対する自分の指導に疑問を感じたから、とのこと。

彼の部署に、1日10件の訪問目標に対して、1日3件ペースという部下がいました。目標の3分の1以下は、どう見ても少ない件数です。部下の行動を変えさせようと、彼は繰り返し説得しました。ところが一向に変化が見えないため、そのうち、この部下は自分の話を聞く気がないのだと考えるようになっていました。

その頃、会社が営業の支援策として同行コーチ制度を導入しました。彼がその部下について協力を仰いだところ、コーチは思いもよらないアプローチを取ったそうです。

相手を変えるのではなく価値観に寄り添う

コーチはまず、その部下が1日3件の訪問でも販売目標を達成していた点に注目しました。そして、「ほかのメンバーは、たくさんの得意先に会ってなんとか達成しているのに、このペースで対応できるのはすごい」と賞賛しながら、人よりも少ない訪問で販売目標を達成する方法について質問したのです。その部下は、ターゲットの選定からクロージングまでの面談ストーリーを考えて、訪問直前まで事前準備していることを、目を輝かせて語りました。

それを見て、マネジャーの彼は、それならあと1件だけでも訪問先を増やしてはどうかと考えました。しかし、それを伝えたコーチから「それは、あなたの価値観の押しつけです」と指摘されて、衝撃を受けたそうです。

この場合は、部下に対して「あなたなら、ターゲットをもっと絞り込んで、1日1件の訪問でも販売目標を達成できるのでは?」と促すのが、価値観に寄り添った指導にあたる。それが、コーチの解説でした。

彼にとっては、「まず、訪問件数を増やす」という考え方が「当たり前」でした。人はどうしても、自分にとって当たり前だと感じる価値観で、他人に接してしまう部分があります。経験に基づいた自分の価値観を持つ上司が、部下に接する場合は、なおさらです。しかし、部下の「効率よく達成する」価値観からすると、上司の「当たり前」は当たり前ではなく、指導を素直に受け入れられないこともあるのです。

部下の成長はマネジャーとしての成長

部下の価値観に寄り添ってみることを学んだ彼は、今後また別の問題点を見つけたとき、自分の「当たり前」に固執するのではなく、部下の価値観で向き合い、指導することができるでしょう。それは部下の成長と同時に、彼自身もマネジャーとして成長した証拠です。

渡辺 誠一

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