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「叱る」承認をうまく使えないコーチ

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気をつけたい「コーチング」で陥りやすい罠 第7回

承認の具体的な使い方

コーチングの要素には、次の3つがあります。

  • 質問
  • 傾聴
  • 承認

このうちの「承認」は、他の要素に比べて、使いにくいと感じるコーチもいるようです。他人を承認するという行為を、「上から目線」であると感じてしまうのも、原因の1つでしょう。もちろん、それは誤解です。しかし、慣れないうちは、「承認」という言動でコーチとしての立場を取ること自体に、難しさを感じてしまうものです。

同じような理由から、対象者を叱れないコーチもいます。コーチングの「承認」は「recognition」ですが、語源には「見守る、あらためて見て分かる」などがあり、転じて、recognitionは「評価」という意味も持ちます。評価の表現形として「叱る」も「褒める」も含まれており、どちらも「承認」の一種になります。

「叱って承認する」とは、具体的にどういう行動でしょうか。語源の「見守る、あらためて見る」がそのヒントになります。「この1週間、あなたは出せるはずの力を発揮していません」「前回あそこまでできていた行動が、今回は1度も見られませんでした」などが、叱る承認の例です。褒める場合は、「いつも早めにゴミ出しをしてくれていますね」「先月の報告書は、ユーモアがあって楽しく読めました」という具合です。

対象者へ強い影響を与える「叱る」と「褒める」

「叱る」も「褒める」も承認の中では、対象者へ強い影響を与えるものです。特に、次の場面で効果を発揮します。

  • 叱る
    悪い習慣の存在に気づかせて、改めさせる
  • 褒める
    良い行動を、習慣として定着させる

そして、どちらも強い影響がありますから、使い方には注意が必要です。

  • 叱る
    対象者の行動や習慣など、叱る対象を明確にできないと、対象者の全人格を否定していると受け取られてしまい、信頼を損なう
  • 褒める
    対象者の行動ではなく、成果だけを褒めていると、人によって「褒められること」が仕事の目標に置き換わる場合があり、その結果、成果の出にくい仕事への情熱を失う

こういった影響があるために、叱ると褒めるは承認ではないものと定義するコーチもいるようです。

承認を機能させるために

「あなたはここができている」と他人に認められて、ようやく、「できていると思っても大丈夫だ」と自分自身に許可を与えられる対象者もいます。それが、「承認」の機能の1つです。

これを読んで、もし自分は叱れていないと感じる場合は、対象者をいつも見守っていることを感じさせながら、前回と今回の「違い」で気づかせる方法を、試してみてはいかがでしょう。ただし、「ここはできているけれど、ここはイマイチだね」といった表現は、承認ではありません。これは、何かを指摘するためのスキルです。この表現を使うことが当たり前になっている人は、前半の承認を無意味なものにしていますから、それを自覚することが大事です。

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