気をつけたい「コーチング」で陥りやすい罠 第8回
「NGワード」を口癖にしない
なくて七癖ということわざがありますが、皆さんにも、自分では気づかない癖があるかと思います。もちろん私にもあるでしょう。気づかないだけで、きっと7つどころではないと内心ビクビクしています。
コーチングにおいては、特に改めるべき「口癖」が存在します。今回はそれを3つご紹介します。
「そもそも」「だから」「なぜ、どうして」
1. そもそも
「そもそも、あなたが何か月も訪問していなかったからでしょう」
「そもそも、そんなこと報告書には一言も書いていないでしょう」
「そもそも、訪問先の状況確認は常識でしょう」
「そもそも」と動かせない過去を持ち出された対象者は、反論の余地がないまま身動きが取れなくなってしまい、議論が発展しません。過去ではなく未来に目を向けさせるのがコーチングの本質ですから、「そもそも」は使うべきではありません。
2. だから
「だから、気をつけろと言っただろう」
「だから、ダメだったろう」
「だから、そういうことは先に言えよ」
「だから」から始まる発言は、本能的に身を守ろうとする意思が含まれていることが多いものです。「事前に伝えてあった」「それは聞いていない」と責任を逃れて、自分の身を守ろうとするコーチには、何を言っても無駄だと対象者に感じさせてしまいます。対象者と一緒に考えるのがコーチングの基本姿勢ですから、「だから」は使うべきではありません。
3. なぜ、どうして
「なぜ、こんなことをしたの?」
「どうして、あそこでもう一押ししなかったの?」
「どうして、遅刻したの?」
「なぜ、どうして」には、本来の意味である「理由を知る」以外に、相手を責めるニュアンスが含まれます。対象者との信頼関係が完成されている場合には、「質問」として本来の機能を発揮しますが、そうでない場合には対象者を暗になじっていると受け取られかねません。「なぜ、どうして」を使うのは、避けたほうがいいでしょう。
理由を問いかけたい場合には、「なぜ、どうして」ではなく、「何」に言い換えるのがいいでしょう。前述の例を変換すると、「こんなことをした理由は何?」「何があそこでもう一押しさせなかったの?」「何があって遅刻したの?」となります。一緒に考えようという姿勢を示しながら、問いかけへの答えを引き出すことができます。
こういったNGワードは、その場しのぎで使わないよう気をつけるのではなく、意識して普段からなくすよう訓練をしていきましょう。「口癖」は何気ないものですが、コーチングの場では信頼関係を失わせる重大な問題になります。
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