入社3年目だからこそ
- あらためて考える「社会人基礎力」 第1回
成長の“拠り所”としての「社会人基礎力」
新入社員として会社に慣れるところから始めた1年目、何も知らなかった自分を確かめるような2年目を過ごして、ようやく仕事にも会社にも慣れたと感じるのが入社3年目です。余裕が出て周りを見ると、同期との差に気がつくかもしれません。
もっと努力しておけばよかったと反省することもあると思いますが、考えるべきは今後の成長です。しかし、成長のために、具体的に何をすればよいのか分からないという方も多いでしょう。そんなときは、あらためて「社会人基礎力」を見直すことで、成長への糸口を見つけていくのはいかがでしょうか。
社会人“基礎力”と言われると、新入社員が学ぶものだというイメージがあるかもしれません。しかし、業務経験を積んだ今だからこそ、成長を考える“拠り所”になります。
社会人基礎力 - 3つの能力、12の能力要素
社会人基礎力とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、2006年から経済産業省が提唱しているものです。(参考:社会人基礎力 - 経済産業省) その内容は、3つの能力を12の能力要素に分けた形で構成されています。
①「前に踏み出す力(アクション)」の能力要素
- 1. 主体性:
物事に進んで取り組む力 - 2. 働きかけ力:
他人に働きかけ、巻き込む力 - 3. 実行力:
目的を設定し確実に行動する力
②「考え抜く力(シンキング)」の能力要素
- 4. 課題発見力:
現状を分析し目的や課題を明らかにする力 - 5. 計画力:
課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力 - 6. 創造力:
新しい価値を生み出す力
③「チームで働く力(チームワーク)」の能力要素
- 7. 発信力:
自分の意見をわかりやすく伝える力 - 8. 傾聴力:
相手の意見を丁寧に聴く力 - 9. 柔軟性:
意見の違いや立場の違いを理解する力 - 10. 情況把握力:
自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 - 11. 規律性:
社会のルールや人との約束を守る力 - 12. ストレスコントロール力:
ストレスの発生源に対応する力
「弱み」を把握するために
就職活動中や新入社員研修時に「社会人基礎力」を目にしたり、学んだ記憶がある方もいるかもしれません。しかし、業務経験を積んだ今だからこそ、12の能力要素がどれも仕事をするうえで必要な力であることがよく分かるのではないでしょうか。実際に、上司や先輩から「もっと主体性を発揮して」とか「人の話をよく聴いて」などと、この能力要素に関わる指導を受けた方も多いでしょう。
12の能力要素は、自分に足りないもの、つまり「弱み」を把握するために使うことができます。それぞれの要素の自己評価を数値化してみるのもいいでしょう。あるいは、周りからよく指導や注意を受ける要素にチェックを入れるだけでも構いません。そうして明らかになった「弱み」を日頃から取り組む課題にしましょう。
社会人基礎力の12の能力要素を自己分析ツールとして活用し、今後の成長をどう図っていくのかを考えるために、次回から各要素を詳しく見ていきます。
- 第1回 To-Doリストを確実に機能させるための3つのポイント
- 第2回 意識していることを行動に落とし込んだTo-Doリスト
- 第3回 To-Doリストをさらに小さな行動に書き換える
- 第4回 To-Doリストが機能すれば目の前のことに集中できる
- 第1回 入社3年目に見直す「社会人基礎力」12の能力要素
- 第2回 基盤となる「主体性」と考え抜くための思考法
- 第3回 チームワークの創出と維持に欠かせないスキルと自己管理